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2000年 台湾特集第三弾
雅の極致・茶藝館
2000年台湾特集の最終回を飾るにふさわしいトピックは、茶藝館で決まり!

 台湾と言えば中華料理と屋台のイメージが強くて、あまりミヤビなイメージはないんですが、その台湾に源氏物語、平安絵巻物もかくやと思わせる究極の雅の世界があるんですね。それが、ここ数年台湾各地に出現し、人々に親しまれている茶藝館です。

 茶藝館とは、文字通りお茶を楽しむ場所なのですが、日本のお茶室とは全く似ても似つかないものです。一言で言えば「宇治の平等院鳳凰堂(10円玉の裏にデザインされている寺院)の一室を借り切って日がな一日お茶を楽しみながらボーッと過ごす」という、なんとも豪華で贅沢な場なのです。

 私は台湾で茶藝館を三ヶ所はしごしてきたのですが、その中で一番良いと思った茶藝館は台北から車で40分ほどの桃園市にあります。そこでは1000坪ほどの敷地に大きな池が掘られ、無数の小島が点在していて、それらは美しい曲線のアーチを描く朱塗りの橋で結ばれています。小島の上には2人〜6人が座れるサイズの小さなあずま屋があり、そこがお茶室になります。茶友(茶藝館に来た人をこう呼ぶ)の一日はまず自分のお茶室を選び、そこに腰を落ち着けることから始まります。私たち一行(4名)は、敷地のほぼ中央にある、タタミの茶室を選びました。茶室には「最低消費1000元」という立て札がかかっていました(今日、台湾人の間では、高い金を払って日本文化を楽しむことがトレンディのようです。たとえば、タタミの部屋というだけでプレミアがついて値段が高くなります。)

 さて、一室に腰掛けてしばらくすると、服務員のお兄さんがやってきて、茶具一式と遊び道具(ダイヤモンドゲーム?)一式を持ってきました。私は残念ながら茶具の鑑識眼を持ち合わせていませんが、どれも高級そうな、どっしりと重厚感のある中国茶具ばかりです。

 中国式のお茶の楽しみ方は日本人の間にもよく知られていますからここでは詳しく説明しませんが、私が驚いたのは「香りと味を二種類の器で両方楽しめる」ことです。各人には2種類の杯子(お猪口サイズの茶碗)が配られます。一つは聞香杯といって、香りを楽しむための器で、もう一つが茶杯といって、お茶を飲むための器です。手順としては、まず聞香杯にお茶が注がれたあと、それをすばやく茶杯に移しかえて聞香杯を空にします。そして聞香杯を鼻に近づけて香りを楽しみます。茶藝館で出されるのはどれも最高級ランクの烏龍茶で、お茶の品種によってはほのかなココナッツやパイナップルの香りがしたりします。お茶の残り香がなぜ果物の香りなのかは未だもってよく分かりません。

 さて、食い意地の張ったあの台湾人のことですから、お茶だけで満足するわけがありません。当然茶藝館にも料理人がいて、各種のランチ、ディナーでお腹を満たすことができます(しかも美味、当然か)。お茶と料理を両方楽しむ彼らを見ていると、なぜ日本のお茶室ではお茶菓子しか出ないのだろうと、不思議な気持ちになります。

 お腹が一杯になると、今度は敷地内を散策したくなります。アーチ橋,築山と、変化のある敷地の風景を楽しんだ後は、池の中で無数に棲息している錦鯉に餌をやります。これがなかなか面白い。鯉の性格は万国共通、ひたすら食い意地が張っていて,2回、3回と餌をやっただけで周囲の半径1、2メートルの水面が銀鱗で埋め尽くされます。金色,赤,水色とさまざまな色の鯉が飼われているので、その姿は錦絵のようでした。

 こうして私たち一行は豊かな静けさのなかで、時間を忘れてしまいました。茶藝館に着いたのは確か昼食の後だったのに、いつの間にか辺りは真っ暗、なんと夜の8時過ぎになっていました。各種のお茶を楽しんで,お腹も満たし、しばし平安貴族の気分を味わった上、値段は一人あたり600元(2100円)とお手頃でした。はっきり言って、これは病みつきになります。場所も国際空港から車で10分と便利なので、台湾にお立ち寄りの際は、ぜひ足を運んでみては・・・

 
田園民俗茶藝館
桃園市永星街36号
03-355-2155