今年の4月、妻と二人でヨーロッパを旅してきました。とても良い旅でした。もう言葉もありません。ただ一言、旅はすばらしい・・・
私たちが普段やってる旅は、普通「観光」とか「旅行」などと呼ばれます。「観光」とは文字通り「光を観る」、つまり日常生活の場を離れてよその土地に出かけて、その土地の素晴らしいもの(光)を観ることが本来の意味だそうです。地球上には、実にバラエティに富んだ自然景観と、それぞれの土地の気候風土の中で育まれた多様な文化が存在しており、それらを実際に観る、体験する、理解することによって私たちの日々の暮らしを見直したり、より心豊かなものにすることができます。
地球人類の中で、「観光」が最も早く一般大衆の間に普及した地域はヨーロッパでしょう。もちろん現在でも、例えばヨーロッパきっての観光大国であるフランス、スペイン、イタリアでは、国の全人口に匹敵するかそれ以上の数の観光客を、毎年他国(多くは近隣諸国)から受け入れている程、観光は人々の日常生活にしっかり根付いています。ヨーロッパ統合によって、人々は当たり前のように国境を超え、夏のバカンスの時期には北の国から南の国への民族大移動が起こり、ドイツのオクトーバーフェストやスペインのセマナ・サンタの祭りにはヨーロッパ中から客が押し寄せる、ホテルやレストランの人たちは当たり前のように数ヶ国語を操り、各国からの旅行客と談笑する・・・
ヨーロッパという、「観光最先進」地域を旅してみると、人々がいかに観光を上手に楽しんでいるか、観光の舞台装置を演出するのがいかに巧みか、観光という営みがいかにシステマティックに組織されているか、その成熟ぶりには驚嘆せざるを得ません。そして言うまでもなく、観光資源は素晴らしく豊富です。歴史、建築、音楽、美術、伝統工芸、ファッション、味覚、酒、大都会、バカンス、リゾート・・・旅のキーワードには事欠きません。ヨーロッパ全体が、巨大な旅のテーマパークといっても、決して過言ではないでしょう。
ヨーロッパ観光のどこが魅力的なのか、思うところを書いてみます。
1.違いを楽しむ
ヨーロッパは、たいへんバラエティに富んだ地域です。飛行機で3時間も行けば端から端まで行けてしまうような、大して広くもない地域に大小40以上の国がひしめき、さらに同じ国内でもたくさんの「地方」があり、それぞれ独自の歴史と風俗習慣を持っています。例えば北イタリアと南イタリア、あるいはスペインのカタルーニャ地方とアンダルシア地方は、同じ国とは思えないくらい違いがあります。
また自然環境も千差万別で、人々はその土地にあった生活習慣で暮らしています。寒風が肌を刺すウィーンやプラハからアルプスを越えてイタリアに入ると暑いくらいの陽気になり、南スペインはもう真夏のような暑さ。そんな南の国では、朝働いて、暑い日中は昼寝して、起きたらまた働いて、その後は深夜3〜4時ごろまで遊ぶという暮らしが生きています。
そして食べ物も飲み物も、言葉も歴史も、国・地域によってずいぶん違います。「クルマで半日も走れば、国境を越え、そこには全くの別世界が広がっていた」みたいな楽しみ方が、何十通り、何百通りの組み合わせでできる。それがヨーロッパの旅の醍醐味でしょう。
2.共通点を楽しむ
ここまで多様で個性豊かなヨーロッパも、よく観察してみれば共通点も多く、全体として統一感のある「ヨーロッパ世界」をつくっていることが分かります。どんな町にも中心に教会や大聖堂があり、広場や公園があり、城壁があります。どの町でも人々が憩い、散策を楽しんでいます。建築でも石やレンガを基調とし、ゴシックやロマネスク、ルネサンスやアールデコ等、共通の形式でまとめあげられています。ヨーロッパには数多くの言語がありますが、ほとんどがアルファベットを用い、語彙も共通のものが多く、例えばフランス語とイタリア語などは、「外国語」というよりむしろ「方言」とした方がいい位、よく似ています。
各国、各地域、それぞれ違いは大きくとも、「ローマ」、「ギリシャ」、「パリ」などをキーワードにして、共通点を拾い上げてみれば、「ヨーロッパ」というとてつもなく巨大で偉大な文明が、小学校の理科の授業でやった「あぶりだし」のように、おぼろげながらその形を現してきます。それを肌で感じ取ってみる、これもまたヨーロッパならではの旅の楽しみでしょう。
ヨーロッパはまた、とても旅しやすい地域です。さすがに日本と並んで世界で最も鉄道が発達した地域だけあって、どの都市へ行くにも特急列車や夜行列車があって、本数も多く便利です。また航空網、高速バス網もかなり発達しており、大都市では地下鉄や近郊鉄道が網の目のようにめぐらされています。また大きな駅やバスターミナルでは、5〜6ヶ国語で表記されていることが当たり前ですし、職員も数ヶ国語を話す人がザラですから乗客にとっては頼りになります。
さらに、観光のシステムがすばらしい。空港や駅にある観光案内所では、キャンペーン期間中で割安なホテルまで紹介してくれたり、時にはリムジンバスまで手配してくれるのでたいへん助かります。実際、我々が旅した時もホテルは全く予約していきませんでしたが、観光案内所のおかげで全く不自由はありませんでした。また、大きな駅にはスーツケースまで入れられるコインロッカーや手荷物預かり所が完備しているし、小さな駅でもエスカレーター、エレベーターがたいてい設置されているので、重い荷物を抱えながらでもラクに移動できます。
そして、観光名所も美術館などを除けばたいていタダというのも嬉しい。歴史的建築物としての価値が非常に高い教会や大聖堂にも、たいていタダで入場できます。オペラやオーケストラ、フラメンコなどのショーは当然有料ですが、それでも2000〜4000円という廉価で堪能できます。ホテルや観光案内所にはたいてい街の地図や観光ガイドが置いてあり、タダなのにかなり使えるものが多い。本当に旅人に優しいところです。
私と妻は、ヨーロッパの5カ国7都市を15日間かけて旅してきました。やや駆け足でしたが、それでも特色のある各都市の魅力を堪能できたと思います。最初に訪れたウィーンから最後に訪れたパリまで、各都市ごとに紀行文を発表していきます。乞うご期待。
| ヨーロッパ地図と今回のコース |
 |
|