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Manachan's World アウトドア

シドニー近郊の特選ハイキング(2001/11/03)


 ホリデー王国・オーストラリア。遠く19世紀からせっせとレジャーに親しみ、アウトドアをこよなく愛するこの国はブルーがいっぱい、グリーンがいっぱい。特に気候に恵まれたシドニーの周辺では大小さまざま、大変バラエティに富んだハイキングコースが整備されていて、多くの市民に親しまれています。私もこれまでいろんなハイキングコースを歩きましたが、その中で特に眺望が良く、歩いていて気持ち良いとっておきのコースを二つ紹介します。

1.The SpitからManly (行程:8km、3時間) 

 このコースは、シドニーの市内から一番近くて手軽に行ける上に、大変ダイナミックな眺望が楽しめるため、市民にとても人気があります。行程はわずか8キロですが、湿地帯あり、ビーチあり、断崖絶壁あり、灯台あり、公園あり、高級住宅街ありと変化に富んでいて、決して飽きさせません。このコースを歩くと、シドニーがいかに都市景観と自然景観の調和した素晴らしい都市であるかが実感できます。

 都心からのアクセスも快適。シティからならWynyard駅前からノーザンビーチ方面行きのバスに乗ってThe Spitまでわずか20分。ノースからならCrows Nestからのバスで20分足らず。開閉橋のある美しい水辺の住宅街、The Spitがこのコース(Spit-Manly Walk)の起点です。この近辺はウォータースポーツが特に盛んなところで、週末はカヌー教室などで賑わい、シーサイドレストラン、カフェなども充実していて、のんびり過ごすには良いところです。

 The Spitの開閉橋の北側からハイキングコースに入ります。時折上方に開く橋とその間を通る大型客船の優美な姿を眺めながら一路東へ。すると、まもなく湿地帯に入り、尾瀬ヶ原を思わせる木道の上を通ります。このあたりはちょっとした深山幽谷の趣きがあり、シドニーの郊外にいることさえ忘れてしまいます。

 30分ほど山道を歩くと前方に静かな入江が開けてきます。Clontarf Beachです。海岸沿いはいい感じの公園になっていて、子供の遊び場やバーベキュー施設が充実しているためか、ファミリーで訪れる人の姿が目立ちます。砂浜をちょっと上ったところには日立のCMに出てくるような大きな木があって、その木陰で気持ち良さそうに寝ている人もいます。

 Clontarfからさらに東へ進むと、道はにわかに険しさを増します。シドニーハーバー沿岸随一の断崖絶壁をよじ登ること約10分。すると、息を切らせてようやく登り切ったハイカーを祝福するように、素晴らしい風景が待っています。ここは絶壁の上、南の方を見ると対岸にBalmoral Beachが確認でき、さらに右方にはシドニー市街地、センターポイント、オペラハウス、ハーバーブリッジなどおなじみのランドマークの華やかな競演。左方にはマンリー市街地、その対岸にはThe Gapの断崖とWatsons Bay・・・空も海は澄みわたり、絵葉書そのものの風景にしばし酔いしれます。

 さらに進むと、道は二本に分かれます(The Grotto分岐)。左はハイキングコース本線、右はThe Grotto灯台へ向かう1キロ弱の道。体力に余裕があれば、迷わず右へ向かいましょう。しばらく行くと風景がパッと開けてきて、右も左も潅木帯の向こうに明るい海が見え、写真撮影には最適。そうするうちに前方にThe Grottoの白い灯台の姿が確認できます。灯台に着いたら、断崖の下のCastle Rock Beachや左方のマンリー方面をバックに写真を撮って、もとの分岐点まで戻ります。

 今度は分岐を左へ向かいます。断崖ウォークはしばらく続き、時折ハッと息を飲むような好眺望の連続、フィルムは多めに持参しましょう。また10人くらいが横になれるような岩も各所にあり、ゴロゴロ寝転がるにも最適。そうこうしているうちにコースは車道にぶつかり、前方に大きな公園が見えてきます。ここがDobroyd Headです。

 Dobroyd Headから見下ろす風景も楽しい。はるか下方を見ると波打ち際にまるで北海道の漁村を思わせるようなトタン葺きの粗末な小屋がいくつか並んでいます。聞くと、スクウォッターズ(不法占拠者)の小屋とのこと。おそらくアーティストとか、ヒッピー系の人が住んでいるのでしょう。この辺はすでにマンリーに近く、マンリーとサーキュラーキーを往復するフェリーの姿がとても絵になって楽しいです。上を見ると凧がいくつもあがっていたり、アイスクリームの屋台などもあり、とてものどかな雰囲気です。

 Dobroyd Headからは緩やかな坂道をグングン下りていきます。前方に青い海を見ながらの快適なウォーク。20分くらい行くといよいよ海岸到着。ここはReef Beach、マンリーの町を目と鼻の先に望む、猫の額ほどの小さく愛らしいビーチです。

 ここまでくると、コース終着点のマンリーはもうすぐ。しばらく歩くと住宅街に入り、買ったら数億円はしそうな豪邸をため息まじりに眺めながら進みます。やがて高層マンションが視界に入り、クルマのモーター音が聞こえてきたらいよいよマンリーに到着。この界隈は週末大変な人出で、まるで東京上野のアメ横か大阪心斎橋みたいな人、人、人の波。アイスクリーム屋とコーヒーショップが大変充実しているので、ここで一息入れるのもよし、気候がよければビーチで泳ぐのも良し。マンリーの町を心ゆくまで堪能したら、フェリーでハーバーを横切って、家路につきます。

Spit-Manly特選フォト (写真をクリックすると拡大できます)

  
2.CowanからBrooklyn(行程:11km、4時間) 

 このコースはシドニーの北に横たわるクーリンガイチェイス国立公園の核心部を横切り、本格的な山歩きが楽しめます。景色は雄大の一言、そのうえ起点のCowanと終点のBrooklynのどちらにも鉄道駅があり、シドニー各地から乗り換えなしで行けるという交通の便の良さも人気の秘密。東京近辺でいえば、ちょうど高尾から相模湖まで歩くみたいな感覚です。

 このコースの起点はCowan駅、シドニー・セントラル駅から49km地点、無人駅・・・国立公園のど真ん中にあるこの静かな駅から東の方向に向かって、ハイキングコースが伸びています。

 コース最初の約2kmは緩い坂道をだらだらと下るような感じ。息が切れないので仲間との会話も弾みます。深い森をぬうように快適な山歩きを楽しんでいると、前方に水辺の風景が広がっています。ここはHawkesbury川の支流、Cowan Creekです。

 ここは絶好の休憩場所です。水遊びもできるし、フェニックス椰子の向こうに広がる雄大な入り江の景色も堪能できます。経験者のアドバイスとしては、ここでチョコレートとかロリポップとかを食べて、これから続く厳しい登り坂に備えてエネルギーを蓄えておいた方が良いでしょう。

 Cowan Creekに別れを告げ、しばらくいくと急な登り坂が待っています。標高は300メートルもないんですが、それを感じさせない厳しい登りが続きます。この辺は完全に深山幽谷、というか仙境の趣きさえあります。まるで、人里から遠く離れたとんでもない所に来てしまったような錯覚に陥ります。

 厳しい坂を登りきると、今度は一転して日当たりが良くなり、牧歌的な風景の中、平坦な道が続きます。思わず鼻歌でも口ずさんでしまいそうな道が北へ向かってまっすぐ、何キロにもわたって続きます。このあたりから、コースは後半に入ります。

 さらに行くと、緑濃い森の中に巨大な水溜りが見えてきます。これがBrooklynのダム湖です。端から端までわずか数百mのこの湖は、泳ぐのに最適。水は決して澄んでいるわけではありませんが、ダムの中央部まで泳いでいくと水がひんやり冷たくて実に気持ち良い。もちろん足が立たないのでアメンボみたいに立ち泳ぎしながら、ハイキングの汗を流すのがこのコースの醍醐味です。

 ダム湖から終着点、Hawkesbury River駅までは2km強の道のり。森の中をしばらく歩くと、シドニー市民の別荘地として有名なBrooklynの住宅街に出ます。さらに歩くと、天の橋立みたいな細長い砂洲の上につくられたHawkesbury Riverの駅が見えます。駅前には売店が何軒かあり、ここでフィッシュアンドチップスでも頼んで腹を満たしたら、上り電車に乗ってシドニーまでの楽しい帰途につきます。

Cowan-Brooklyn特選フォト (写真をクリックすると拡大できます)