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Manachan's World アウトドア

シドニー近郊の特選サイクリング


 シドニーとその周辺はマウンテンバイクがよく似合います。起伏の多い地形ですから上り坂はキツいけど、海と山と森の好眺望が疲れを心地良く癒してくれます。主要道路は歩道がしっかり整備されているし、国立公園内はサイクリングコースがよく整備されています。でも、それにも増して嬉しいのは、公共交通機関がサイクリストに優しいことです。シドニーでは電車でもフェリーでも、自転車を簡単に積み込むことができ、費用も安く済みます。それらとサイクリングを組み合わせれば、かなり充実したプランニングができます。また、各地にキャラバンパークやキャンプ場が整備されているので、泊りがけのツーリングも手軽に楽しめます。

 もちろん、いいことばかりではありません。都心部近くや幹線道路は排気ガスがかなりすごいし、またこの街は自転車ドロボウが非常に多く、カギかけても安心できないので、自転車を肌身離さず持っておくのが基本です。路面の舗装状態も概して日本より悪く、距離の割に疲れます。でも、それらの欠点を補って余りあるのが、シドニーの素晴らしく快適な気候です。週末、明るい陽光にいざなわれ、涼風に頬をなでられてみれば、もう外に出ないではいられなくなります。そして、一度自転車を手にしてみれば、誰だって遠出してみたくなります。

 ここでは、シドニー周辺のとっておきのサイクリングプランをいくつか紹介します。


1.Mt Colah〜Bobbin Head〜Patonga〜Woy Woy (2002/03/24)
(サイクリング:22km・1時間30分、フェリー:18km・1時間30分) 

 このコースは、シドニー北方に広がるクーリンガイチェイス国立公園(Kuring-gai Chase National Park)の核心部を縦断する、風光絶佳、一押しのコースです。また、行き帰りには電車を使い、国立公園内はフェリーを使い、その他の区間はサイクリングという、変化に富んだプランでもあります。

まずは、シティレールのNorth Shore LineのBerowra行きの電車に乗り、Hornsbyより二つ先のマウント・コラー(Mount Colah)の駅で下ります(時刻表はこちら)。セントラル駅からの所要時間は約50分、直通電車もほぼ30分に一本出ており、便利です。マウント・コラーは、クーリンガイチェイス国立公園に一番近く、落ち着いたたたずまいを見せる緑豊かな住宅街です(ここで家買おうかな?)。駅を下りてBobbin Head Roadを東へ向かうと、1キロ足らずで国立公園のゲートに達し、そこからは人家が一つもない、見渡す限りの緑の世界に入ります。

 ゲートから3キロ足らずで、カルカリ(Kalkari)ビジターセンターに到着します。ここはボランティアによって運営されており、NSW州内の国立公園や付近の動植物に関する展示や、ビデオ上映会、ウォーキングツアーの案内などを行っています。付近はピクニックエリアになっていて、緑あふれる園内でお弁当を広げたくなりますが、ここはひとつ我慢して、わずか2km先のボビンヘッド(Bobbin Head)を目指しましょう。

 カルカリからボビンヘッドまでは、爽快なダウンヒル。ペダルを一度も漕ぐことなく、重力にまかせて風を切って進みます。間もなく左手に水辺の風景が広がり、そこに浮かぶボートの数が多くなり、ほどなくボビンヘッドの集落が見えてきます。集落といっても、国立公園関連の施設しかないんですけどね。

 


  ボビンヘッドは、ホークスベリー(Hawkesbury)河の支流、Cowan Catchmentに面した小さな船着場です。ここには、ビジターセンターがあり、フィッシュアンドチップス等が食べられるキオスクがあって、大きなピクニックエリアがあって、駐車場があって、あとは、ひたすらレジャーボートがひしめく船溜まりになっています。ここで弁当を広げるもよし、昼寝するもよし。時間があれば、1キロほど北に行った静かな入り江、Apple Tree Bayをぜひ訪れたいものです。 ボビンヘッドからパトンガ(Patonga)に向かうフェリーは、一日一便、午後1:30の出航です。フェリーといっても、日本の感覚でいえば「渡し舟」です。土、日となると乗客がかなり乗ってきますので、出航10分前までには自転車を乗せてしまいましょう。人間一人と自転車を合わせた運賃は12ドル(840円)ですが、パトンガまでかなり距離がありますので、決して高くはないでしょう。船内にはミニバーがあって、コーヒー、紅茶、ビールなど、それほど高くない値段で買えます。折角ですから、ここは是非ともビールにしましょう。甲板(?)の上で心地よい風に吹かれながら飲むビールは、文句なしに美味い。

 ボビンヘッドを出航したフェリーは、Cowan Catchmentを一路北へと向かいます。さすが国立公園だけあって、両岸とも非常に変化に富んだ景色が楽しめるのですが、この航路の目玉は、ほぼ中間地点にあるコッテージ・ポイント(Cottage Point)の船着場でしょう。コッテージ・ポイントでは水辺に邸宅が何軒か並んでいて(みんなプライベート桟橋付き、うらやましいなあ)、レストランもあって、ここでお腹を満たした乗客が桟橋から船に乗り込んできます。

 その後、フェリーはさらに北上を続けます。途中、ヨットやクラシック帆船が時々現れて、アメンボみたいに水面を滑るように進み、こちらとしても写真を撮る手の休まるヒマがありません。そのうち、視界がパッと開け、ホークスベリー河の本流を横切り、間もなくすると北岸に長閑なビーチが広がってきます。ここが目的地・パトンガです。

 パトンガでは、乗客の大部分が下りるはずですが、その一部はここから南東方向にあるパームビーチ(Palm Beach)に向かって旅立っていきます。ボーッという汽笛の音を残して、静かに走り去っていくフェリーは風情があります。パトンガのビーチは船着場から西方向に全長1キロ以上に渡って伸びており、その先にキャラバン・パークがあり、たくさんの人がバーベキューや水遊びを楽しんでいます。

 ここから北東方向に伸びる道路が、このサイクリング最大の難関です。パトンガの北方にひろがるピーツ山脈(Peats Ridge)に向けて、長く急な上り坂が待っていて、かなりしごかれます。坂を一つ上りきったと思ったら、また新しい上り坂が現れてくる・・・恐らく、何度も自転車を押して上がる破目になるでしょう。

 でも、その苦労は必ず報われます。標高172mの峠を越えると、視界がパッと開け、次に控えるパール・ビーチ(Pearl Beach)の優美な姿が、疲れをいっぺんに吹き飛ばしてしまうでしょう。実際、難関はここで終わり、あとは下り坂と平坦な道だけです。パール・ビーチは外洋に面し、水も澄んでいますから、ここで一泳ぎして汗を流すのも良いでしょう。

 あとは、このコース終着点・ウォイウォイ(Woy Woy)に向けて、住宅街をひたすら北に向かうだけです。途中、Umina, Ettalongといった愛らしいビーチ・タウンをいくつか通り過ぎて、前方に大きなショッピングセンターが見えたら、ここがもうウォイウォイです。ここまでペダルを漕いだら当然腹が減ってるでしょうから、駅前にあるタイ料理屋かベーカリーで空腹を満たしましょう。

 ウォイウォイからは、シドニー・セントラル行きの快速に乗って帰りましょう。快速は途中駅をガンガン飛ばすので、距離(77km)の割にはあっけない程早く、1時間10分ほどでセントラル駅に着いてしまいます。  

Mt.Colah〜Woy Woy特選フォト (写真をクリックすると拡大できます)

2.Bulli〜Wollonging Cycleway (2002/12/30)
(サイクリング:13km・1時間) 

 自他ともに認める「チャリンコ気違い」の私が、シドニー近郊で一番素晴らしいと絶賛するサイクリングコースが、シドニーの南約80kmに位置する都市、ウロンゴン(Wollongong)の海岸沿いを走る、全長13kmのBulli - Wollongong Cyclewayです。

 シドニーの街から南へどんどん進むと、郊外住宅地が途切れるあたりから広大なRoyal National Park国立公園が広がっています。南北20kmに及ぶこの「緑の魔境」を抜けると、いよいよウロンゴンの領域に入ってきます。この町は、大都会シドニーから見るとまさに別天地、山と海に囲まれたのどかな田舎町です。

 ウロンゴンの素晴らしいところは、市の北端から南端まで、海岸沿い約60kmの長きにわたって、サイクリングコースが整備されていることです。特に今回紹介するBulli - Wollongong Cyclewayは、一体どの天才がコース設定したのかと驚くほど、素晴らしい風景を満喫できます。全長13kmのコースで7つのビーチを抜け、そのほか湿地帯あり、岬あり、キャラバンパークあり、高級住宅街ありと、実に変化に富んでいます。

 ウロンゴンの海辺にたたずんでみると、シドニーの海では味わえない種類の気持ち良さがあります。これはおそらく、「人と海のバランスが丁度よい」からなのでしょう。確かにシドニーの海も景色は良いです。でも、やっぱり家が多すぎる。特にマンリーやボンダイなど、都心に近い海になればなるほど住宅の密集度が増し、何だか「住宅に囲まれたなかに、箱庭みたいな自然が存在する」みたいな感じになってしまうのです。なんだか、人間が海を圧倒してる感じがするのです。

 そこへいくとウロンゴンの海は、海岸沿いに確かに住宅街があるけれども、ぜんぜん密集してないし、それに住宅街と住宅街の間には、湿地帯や草原などが数キロにわたって続いています。人と海がほど良く調和している状態、というのは実に気持ちの良いものです。

 さらに宣伝しますと、このコースはビーチ沿いを走るため、サイクリングと海水浴が両方楽しめます。サイクリングで「いい汗かいたな」と思ったら、近くのビーチでいくらでも汗を洗い流せます。それに、サイクリングコースと並行して鉄道が走っているため、クルマがない人でも簡単にアプローチすることができます。ただし本数が少ないので、予め時刻表を確認した方がいいでしょう。



 ま、宣伝はこれくらいにしておきましょう・・・このコースは、ウロンゴン市の北部、Bulli地区にあるSandon Point岬から、Bulli、Woonona、Bellambi、Corrimal、Towradgi、Fairymeadowといったビーチを抜け、マンションとホテルの建ち並ぶ市の中心街に近いFlagstaff灯台に至る、全長13kmのコースです。地勢は、北へ行けば行くほど山が海に迫り、南に行けば行くほど平坦になり、そこに市街地が広がっていますので、「山に向かって走る」北行と、「街に向かって走る」南行をどちらも体験されることをおすすめします。往復しても、たった26km・・・ゆっくり走っても2時間足らずの行程です。

 今回は、北から南へ「街へ向かって走る」ことを想定します。海岸山脈が南太平洋に向かって落ち込むあたり、小高い丘になっているSandon Pointを出発して、まず見えるのがBulliのビーチです。ここは、いつも多くの市民が憩う、賑やかなビーチです。ジャングルジムやすべり台で遊ぶ子供たちや、クリケットに興ずる人々の姿が目立ちます。

 Bulliの賑やかな海岸を抜けてしばらくいくと、めっきり人気が少なくなり、次に現れてくるのが長大なWoononaビーチです。全長2km近くあるでしょうか、茫洋とした、静かなビーチです。それを超えると、次に現れるのが海に突き出したBellambiの岬。その手前に海を目前にしたあずま家がいくつか並んでいます。素晴らしい休憩ポイントですので、ここで一息いれましょう。

 岬をこえると、サイクリングコースは一路内陸に入っていきます。まず最初に現れるのがBellambiの湿地帯。これは、海から陸に鋭く切り込んだ入り江が、湖のようなかたちで残っている(Inlet)ものです。深山幽谷の趣き、とまではいきませんが、海岸から一歩離れたことを実感できます。さらにしばらくいくと、海岸沿いの住宅街が広がり、そのすぐそばに、Corrimal Beach Holiday Parkの広大な敷地が広がっています。

 Corrimal Beach Holiday Parkは、オーストラリア色いっぱいのビーチリゾート施設です。日本語でビーチリゾートというとホテルみたいなハコモノを想像してしまうけれど、ここは家族連れがリラックスしながら長期滞在することを目的とした、文字通りの「リゾート」です。敷地内に入ると、電車の車両をうまく改造してつくった「宿泊施設」(感覚としてはバンガローに近い)が100棟近く並んでいます。その多くに洗濯物が干してあったり、簡易ブランコが設置されたりすること、子供たちがラジコンカーなどで遊んでいるのを見ると、長期滞在する家族連れが多い、ということが窺い知れます。オーストラリア人というのは、こういう楽しみ方にかけては天才的だと思います。

 さらに進み、小川に架かった橋を渡るとTowradgiのビーチが広がっています。ここまで来るとウロンゴン市街地のすぐ近くという感じで、ビル街、ホテル街がすぐ間近に見られます。周辺の住宅地も、一戸建てではなくマンションが目立ってきます。街中のビーチらしく、多くの若者でにぎわっています。さらに進むと、Fairymeadow、North Beachという、さらに都会っぽいビーチが続いているのですが、体力が残っていれば適当なところで引き返して、再度北へ向かうのがいいでしょう。行きで見たのとはまた一味違った風景が楽しめますよ。

 最後に、「サイクリングはこんなもんでいいやあ」と思ったら、迷わず近くのビーチに行って、波に汗を流してもらいましょう。マイナスイオンの効果なのか知らないけど、サイクリングした後に海に入るととても気持ちいいです。シャワーを浴びてさっぱりしたら、近くの店でフィッシュアンドチップスでも買って食べて、思い思いの帰途につくのが良いでしょう。

        
写真はクリックで拡大できます

Bulli

Bellambi
Corrimal
Towradgi