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移住相談・実例集その2

〜ワーホリから大学を経て永住権と就職を勝ち取ったペケさんの場合
(最終更新:2003/12/11)

 

 
以下の文は、パース在住、私のホームページ仲間でもあるペケさんからいただいた投稿を、そのまま掲載したものです。

 私は現在、永住者としてオーストラリアの西海岸の都市パースでIT技術者の駆け出しとして働いています。私が経験した事がオーストラリアに移住することを思案中の方のお役に立てればと思い筆を取りました。

 どのように現在に至るかの過程を要約して記述すると、

  • 25歳にて、ワーキングホリデービザで渡豪。
  • 1年後、学生ビザに切り替え、TAFEにてDiploma of Information Technology(2年間のコース)を就学、卒業。
  • 1年半後、大学に編入しDegree of Computer Science (3年間のコース) を2年間就学し卒業。
  • 大学のIT学位を基に、独立移住ビザカテゴリーで永住権を申請。
  • 永住権申請中に現地の会社にて就職先が見つかる。
  • ビザの申請手続きを始めてから約4ヶ月後に永住権を取得。

 私のお話する事が全て正しいかどうかは分かりませし、移民局は猫の目のように審査基準や方法を変更するので、現時点で正確な情報かは保証できませんが、自身が経験した事を基にお話したいと思います。

 私が申請した「独立技術移住」(Skilled Independent)カテゴリーとは、国際結婚や現地会社などに就職するなどビザ申請にスポンサーが必要となるビザとは異なり、自分一人で自身の技術力を売りに永住権を申請するものです。技術移住するには、いかに自分をオーストラリアが「欲しい人」になるかが大事だと思います。これには時の運も大きく関係していると思いますが、現在から数年後に人材が不足するであろう職業に就いているならチャンスがあるかもしれません。このカテゴリーで最も大きなウェイトを占める要素は、

1.技術

 オーストラリアは近年、技術移住希望者を移民として優遇するようになりました。理由はオーストラリア経済に良い影響を及ぼすと考えられているからです。特に人材が足りないとされている職業の資格を持つ人は移民に有利な立場にあります。例えば、理容師は今最も需要の高い仕事としてリストされており、理容師の資格を持つ人は移住に有利な立場にあります。(リストは定期的に変更されます。)

2.年齢の若さ

 年齢の若い人は移民に歓迎されています。というのも現在正味価値(NPV)という統計方法があり(オーストラリアがその人から将来得るであろう利益を、現在の価値に換算したもの。)30歳未満の独立技術移住者のNPVは1人につき$404,000、これに対して、60歳を越えてオーストラリアに移民してきた人のNPVは、マイナス$330,000になりそうです。オーストラリアに誰が利益をもたらすのかを考えると、年齢的に若い30歳未満が優遇されるのも頷けると思います。

3.英語力

 現地で暮らすだけでなく「働く」となると意思疎通のために一定以上の英語力が問われます。そのため移民局はIELTSと呼ばれる英語力テストで一定以上の点数を取得することを要求しています。このテストは一度受けると3ヶ月待たないと再試験に臨めないので注意が必要です。


次第に高くなる壁

 独立技術移住そのものの人数枠はまだ広がりつつあるようですが、申請に必要なパスマークと呼ばれる総合点がここ3年ほどの間に、105→110→115点と引き上げられ(移民局の基準で)より有能な人材だけが受け入れられるようになってきました。その背景には人数枠に対して申請者数の高騰があるようです。

 またIT技術者を取り巻く環境も決して良いものでないようです。というのも、ITブームは終わったのに、ブームに乗ってIT技術者が沢山生まれたせいもあり、人材が余りつつある傾向にあるからです。具体的に言うと、私がTAFEでITを勉強していた西暦2000年は、2年間のDiploma of Information Technology のコースでも独立移住ビザの申請資格に適っていたのですが、2001年にはDegree(大学学位)が最低限必要な学歴・資格になりました。またIT職はDemand List と呼ばれる特に市場で需要が高いとされている技術の一つと扱われボーナスポイントや申請手続きを優先して短期間で行われるなどされてきましたが、それも2002年には終わってしまいました。

 IT技術者としてオーストラリアで認められるには、Australian Computer Society という組織に技術査定をしてもらう必要があるのですが、職務経験をして必要とされている期間も大幅に引き延ばされ、4年から6年間の職務経験が必要だと言われています。

留学のススメ

現在の独立移住ビザのパスマークの115点を満たすには、

  • 技術点 60点
  • 年齢(29歳以下) 30点
  • 英語力 20点

 と基本となる3つの要素で110点は確保したいものです。それでも残りの5点をどこからかひねり出してこないといけません。この最後の5点を得る方法は、既婚者なら配偶者がなんらかの有資格者だったり、日本の大学を卒業し学位を取得している、翻訳者としての資格がある、10万ドルの投資をする、などあります。

 もし仮に貴方が日本の大学でIT学位を取得し卒業後6年間IT職を続けてきたとしたら、技術点60点を申請する資格があるかもしれません。しかし、大学卒業後6年間の職務経験をしたとなると最低でも28歳くらいになると思います。年齢の項目で30点を得るために残されている時間はほんの僅かです。(30〜34歳は5点減り25点になります。)

 パスマークを満たすためにどうするのがいいのか?ひとつの方法は「オーストラリアに留学」する事です。というのもオーストラリア国内で取得した資格には更に5点ポイントが与えられ、しかもオーストラリア国内で学位を取得した者は、コース終了後半年間に限って(4年から6年間にも渡る)職務経験が免除されます。ということは高校卒業後渡豪した留学生が語学学習、ファンデーションコース、Degreeコースを全て順調に終えたとして22,3歳だとするならば、オーストラリア国内の学位のため5点ポイントを貰え、しかも職務経験も免除されて115点得て理論上永住権を申請出来ることになります。

 どうして留学生はこのように優遇されているのでしょうか?移民局曰く、オーストラリア大学の質を確認されたコースを卒業しオーストラリアの生活にも慣れて仕事に就くのに有利な立場にいるからだそうです。(確かにあらゆる書類が簡単に偽造出来る国もあるので頷けますが。)私の感じるところ、彼らは留学を通して「オーストラリア経済に貢献している」からではないかと思います。留学産業はオーストラリアでは第5位の産業と呼ばれるほど規模で、どの大学もいかに留学生を呼び寄せるかに必死になってます。留学生は現地生徒より多くの学費を自費で払っているせいもあり、とってもよい「お客様」なのです。仮に1年間オーストラリアの大学で勉強したら、生活費も含めて年間200万円くらいは必要だと思います。一人留学生を連れて来ただけで、オーストラリア経済にそれだけのお金を落としてくれるのは大きいはずです。10000人の留学生が国内にいれば、年間200億円の経済効果ですから。

 それでも他国ではなくオーストラリアに留学生を呼び寄せるために大学はアノ手コノ手で宣伝してます。アジアから近い、アメリカや英国より生活費が安い、などもありますが、卒業後に「永住権が申請出来る」可能性があるというのも大きな魅力になってるはずです。移民局もその辺は分かってるようで、パスマークが115点に引き上げられた代わりに、Degree 取得後、Master コースや、PhDコースを続けて卒業するとさらに5点、10点とポイントが与えられるようになりました。ということはもっと長くオーストラリアで勉強すれば(お金を使えば)永住権の道が開けるということになります。さらに今年からシドニーなどの都市部ではなく人口が少ない僻地で学位・資格を身につけるなら、さらに5ポイントボーナス点を受けられるようになりました。人口が減り産業が傾いてる田舎地方の経済活性化のためもあると思います。

 もし貴方がオーストラリアでの永住を目指している20代の方で、現在就いている職種技能が独立移住カテゴリーでの申請に適用されないようだったら、今すぐこれから需要が高くなるコースを見つけオーストラリアの大学で勉強することをお勧めします。(もっとも保証されていることはなにもありませんが。)34歳までに申請することが独立移住カテゴリーではとても重要です。(35歳以上でも不可能ではないと思いますが。)


仕事はあるの?

 オーストラリアでもIT業界は不景気なようで「新卒者を雇って育てる」というような会社はとても少ないように思えます。「何年以上の経験者を求む。」という求人広告ばかりです。

 将来をしっかり見据えている大学生は、夏休みの期間中にある「Graduate Program」という2ヶ月ほどだけ企業で研修を兼ねて働くという機会に積極的に参加しています。企業側も雇用を通して有能な社員になる生徒を見つけたいと思っているわけですし、もしその会社での就職が決まらなくても、新卒者でありながら現場での職務経験とある程度持っている事になるので、就職に有利に働くはずです。就職活動はずっと前から始まる点では日本と同じですね。

 就職活動の仕方は、新聞などの求人広告を探して応募、職業斡旋会社に登録する、(求人広告が出て無くても)直接会社に出向いて履歴書を渡す、(いれば)知人と通して紹介してもらうなどあると思います。

 オーストラリアでは(少なくともパースは)仕事を見つけるのに「何が出来るか?」より「誰を知ってるか?」が大事だとよく言われます。同じような経歴の2人が応募してくれば、誰か知り合いの紹介付きであれば、その人が仕事に就くケースが多いわけです。卓越した技術の持ち主の方なら話は別でしょうが、私のような新卒・職務経験ほとんどなしのケースで無視出来ません。ではどのように業界でのコネクションを作るか?というと、先ほどお話した「Graduate Program」やワークエクスペリエンス(無償労働で経験を積む)などをやってとにかく業界へのドアをこじ開けて入っていくことだと思います。それには(たとえ無償労働でも)「やらせてください!」くらいの気持ちでやってみるのが大切だと思います。私も幾つかやり、いろいろ学ぶことが出来ました。

 私の就職活動は意外な形で努力が実りました。片っ端から登録したIT関連の職業斡旋会社の一つで働いてる方から電話を貰い「これは会社としてではなく個人として紹介するんですが、この人に電話をしてみなさい。」と言われ、電話したその会社で働かせてもらうことになりました。後から聞いたところ、その斡旋会社の方と私の会社の社長さんは、毎週教会で出会う友人同士だったんだそうです。大学を卒業したばかり、IT技術者としての経験はほとんどなし、しかもその当時、永住権はまだ申請中で一時滞在者だった私の事情も理解してくれて「とにかくやってみなさい。それから考えよう。」とチャンスを与えてくれた社長さんには感謝しています。毎日が新しい事だらけで大変ですが、実際に働きだして収入があっての生活してみて、オーストラリアに「永住している」という実感が湧き出しているところです。

 ここまでやってこれたのも、今まで支えてくれた日本の家族や友人、オーストラリアで傍にいていろいろオーストラリアの常識を教えてくれたオージーの友人達、HPなどで先駆者としての経験を伝えてくれているまなちゃんさんのような方たちからの実際的なアドバイスなどがあったからだと思います。心から感謝してます。

 私と同じくオーストラリア移住を希望してる皆さん、海外での生活は実現しても大変なことは多々あると思いますが、本当に好きならば乗り越えていけるものだと思います。まなちゃんさん達先輩のアドバイスも参考にして、勝ち組の移民になれるようパースから応援しています。

 私でもし相談や質問なりお手伝い出来そうな事があるならば、私のHPの掲示板かE-Mailでぜひ知らせてください。

(Manachanよりコメント)

 素晴らしいと思います。3年前、私がオーストラリアに移住した頃に比べて、現在は永住権の申請も、IT業界への就職も格段に厳しく、ハードルが厳しくなってきています。そんななかでも、目標を持ち続け、現実を見つめ続け、自分の商品価値(技術力など)を高めつつ、チャンスがあれば果敢に切り込んでいく、という姿勢があれば、永住権も就職も手にすることができます。ペケさんは、それを見事やってのけました。しかもシドニーのような大都会ではなく、パースという地方都市でそれを実現したのです。

 この体験談は、ワーホリでオーストラリアを気に入った人には特におすすめです。ワーホリ暮らしを経て、「できればオーストラリアに永住したいな」と思っても、その現実的な道筋が描けず、日本に帰国してはみたものの、それから先、方向を見失ってしまう、周りの現実に流されてしまう、そのうちいろいろなしがらみができて身動きが取れなくなってしまう・・・という人は決して少なくありません。現に私は、そういう方々からの移住相談を毎日のように受けています。

 「人生に無駄ヅモなし」。オーストラリア暮らしを夢みながら、日本で送る悩み多き日々、それは、長い目でみて決して無駄にはなりません。理想と現実とのギャップに悩みながら、その折り合いをつけようと頑張るのが人生なのですから・・・ですが、受け入れ国・オーストラリア側の事情を見るに、永住権へのハードルは年々高くなっています。もし本気に移住したいのなら、やはり一日でも早く行動を起こした方がいい、一歳でも歳を取る前に永住ビザの申請要件を満たし、一刻も早く永住権を取ってしまった方がいい・・・それが私のアドバイスです。

 それでは、どんな行動を起こすべきなのか?ペケさんの移住事例のなかに、その答えがあります。それは、オーストラリアで将来性のある職業分野を選び、その目的に合ったコースで留学することです。これは、特に日本での実務経験のない若い方には特に有効な方法だと思います。

 最後に、私事になりますが・・・ペケさんと私の妹は、4〜5年前にシドニーの英語学校で一緒に学んだクラスメートです。その後、ペケさんがパースでITを学んでいる間、妹は日本へ帰国し、大学に入りなおし、数年にわたって看護婦、助産婦としての専門的な訓練を受け、先日、見事第一志望の病院への就職を決めました。たいしたものです・・・どの国に住もうと、手に職をつけ、社会が必要とする人材になることは、現代社会で生きる上でとても大事なことだと思います。