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つくばエクスプレスと東葛の未来-後編 (2004/2/9) |
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前編ではかなりの紙数(42KB)をさいて東葛地域の現状について紹介しましたので、今回(後編)は、つくばエクスプレス(略称Tx)沿線や東葛地域の将来について、大胆に予測してみたいと思います。誰が読んでも楽しめる文になるよう心がけますが、特に東葛地域にお住まいの方、興味をお持ちの方、Tx沿線で不動産購入をお考えの方にとって、少しでも参考になれば幸いです。 まず最初に、つくばエクスプレスの概要や沿革に関しては、事業主体であるMIR(首都圏新都市鉄道株式会社)のホームページに詳しく書いてありますので、ここでは概要を紹介するだけに留めます。
全区間58.5kmのうち、千葉県東葛地区を通る部分は13.5kmで、次の5駅が予定されています。
A【沿線住宅開発】
B【沿線新産業開発】
C【沿線商業開発】
次に、それぞれの予測項目をもう少し詳しく見ていきましょう。 A【沿線住宅開発】:都心回帰が進み、茨城は苦戦 Txは、気の毒な路線です。当初の路線計画や沿線開発計画はバブル期以前につくられ、東京に通勤する新住民のために郊外型ニュータウンをたくさんつくり、大量の住宅地を提供するという筋書きでした。ところが、バブルが弾けて10年余り、今日では個人や自治体の経済状況も価値観も、劇的に変化してしまいました。今や世は1億総中流神話崩壊の時代、高齢化の時代、そして若者の都心回帰の時代です。 今どき、郊外型ニュータウンなど、流行るわけがありません。お父さんが25年ローンを抱え、都心から遠く離れた郊外のニュータウンから毎日通勤し、奥さんと子供を地域に残し、昇給と退職金を夢みながら一家の食い扶持を稼ぐ・・・みたいな時代は終わりました。今や、お父さんの職場がいつまでも安泰とは限りませんから、奥さんも一緒になって稼がなくちゃならない。だから、住まいの近くに十分職場がある所、つまり都心暮らしが好まれることになります。以前は地価が高すぎて都心暮らしなんて叶わぬ夢でしたが、今は地価がずいぶん下落し、若い共稼ぎ夫婦は都心近くのマンションを買えるようになりました。 地価下落のほか、若い世代の価値観の変化も、都心回帰に拍車をかけます。いまの若い人は、自分のプライベートな時間を非常に大事にします。だから、毎日の通勤時間を無駄にしてまで(満員電車で不愉快な思いをしてまで)、どうして遠い郊外に住まなきゃならないの?と考える人が多く、そういう人ほど都心暮らしを志向します。また若い人は、自分の趣味やライフスタイルを大事にします。興味分野は人によってさまざまですが、都心部には、多くの人のきめ細かいニーズに応える商業施設や文化施設が充実しています。一方郊外のニュータウンになると、その種の施設が圧倒的に不足し、お仕着せの画一化されたサービスしか受けられないことがほとんどです。だから、両親が郊外に買った土地付きの家で育っても、若い人たちはお金ができれば都心近くに逃げていきます。その結果、団塊の世代が多く住み着いたニュータウンは猛烈な勢いで高齢化します。多摩ニュータウンが良い例です。 さてTx沿線に話を戻しますが、若い世代の都心回帰傾向が鮮明になった以上、沿線の住宅開発は当初の予定ほどは進まないだろうと思います。今や、都心の3〜4部屋のファミリーマンションが5000万円以下、北千住なら3000万台半ばで手に入る時代です。それと同じ額があれば、千葉県の流山や柏に土地50坪付きの新築一戸建て、茨城県ならもっと広い土地付き住宅が手に入りますが、でも毎日長距離通勤するくらいなら、都内のマンションで便利な暮らしをする方がいいと、若いサラリーマンの多くが考える時代です。 若者の都心回帰は、Tx経営陣にとっては悲劇以外の何者でもありません。事業主体であるMIRが負担した事業費はすでに1兆円を超えています。来年秋の開業後は、事業収益の中から借金を返済していかなくてはなりません。そのためには、サラリーマンにできるだけ遠く(茨城県など)に住んでもらい、都心通勤用の定期券を買ってもらった方が良いわけですが、今や若いサラリーマンの心は、「茨城みたいな遠い所から通勤するのは嫌だ。せめて流山あたりが限度!」みたいなノリになりつつます。ですがそのエリアからの通勤だと、茨城(つくば)からの通勤と比べて半分程度しか儲からないのです。新鉄道の経営は、非常に厳しいものになるでしょう。 そこで、運賃設定が非常に重要なファクターになってきます。有志が発表した予想運賃表なるものがありますが、この運賃は、最近首都圏に開業した三セク経営の通勤鉄道(北総開発鉄道、東葉高速鉄道、埼玉高速鉄道など)に比べて、かなり良心的なものになっています。MIR経営陣としては、間違いなくもっと高い運賃を取りたいところでしょう。ですが私は、いまの経済状況や若者の価値観などを勘案すると、この予想運賃表の線がギリギリ限界で、これ以上の値上げは明らかに、Tx沿線への住宅建設を阻害することになると思います。今や企業が社員の通勤定期券代を厳しくチェックする時代です。正社員でも一定額以上は自己負担、派遣社員は交通費支給なし、という企業も珍しくありません。そして、今の若い世代は10円の差にも敏感ですから、できるだけ安く済ませよう、近いところに住もうという考えになります。 Tx沿線を考えるもう一つのファクターとして、「つくば研究学園都市」があります。80年代より国の主導で強力に推し進められ、科学万博の舞台ともなった茨城県つくば市は、官民合わせて約300の研究所や研究機関が立地し、今や人口20万の中堅都市に成長しました。つくば市内で研究職などに携わる人口も万の単位で存在します。彼ら「つくば通勤ピープル」の動向がどうなるかも、注目に値します。 私はTx開通によって、「つくば通勤ピープル」の一定割合が都内、または都内寄りの住宅地に移住するだろうと考えます。「つくば」は、これまで陸の孤島でした。都内から遠く、鉄道が一本も通らず、そのため「つくば」に職場がある人は、つくばエリアに移住するか、或いは比較的近い千葉県の柏や我孫子に住み、そこから通勤せざるを得ませんでした。ところが、Tx開通によって東京からの通勤が物理的に可能になれば、「できれば東京に住みたい」と考える人々がかなり出てくるでしょう。たとえ研究者本人が生活環境に無頓着でも、その家族にとって、東京の持つ文化的吸引力は大きい。また先端技術の研究者なら、都内にマンションを買えるだけの財力のある人も多いでしょう。その結果、つくば市街地は今より空洞化する可能性が高いでしょう。 したがって、私はTx沿線住宅建設の勝ち組は東京都、負け組は(東京から一番遠い)茨城県になると考えます。茨城県内で、すでに市街地化されたつくば駅周辺や守谷はまだしも、それ以外の駅は人口が集まらず、商店街も発達せず、寂しい風景になりそうです。逆に東京都側は、秋葉原に40階建てが建ちますし、北千住や南千住は川沿いに高層マンションの結構開発余力がありますから、つくば通勤ピープルを含む多くの人が住み、賑わいそうです。 但し、東京都がいくら魅力あるといっても、スペースが狭すぎて、沿線人口を全て収容することは到底できません。そこで、東京と茨城の間にある、埼玉県と千葉県区間に注目が集まります。この区間は、茨城よりは東京に近く、東京よりは空間にずっと余裕があります。いずれも、一戸建て中心の分譲住宅地開発が十分できるだけの土地がありますし、長距離通勤の嫌いな若いサラリーマンにとっても十分通勤圏内と言って良い近さがあります。 それでは、埼玉区間と千葉区間、どちらが住宅地として将来性があるかといえば、私は千葉県側(東葛)だと思います。確かに、都心からの距離は埼玉側の方に軍配が上がりますが、その他の点、例えばインフラ整備の度合いや住民の所得水準、地方自治体の財政状況、他鉄道路線との乗り換えの便、有力繁華街への便などを考慮すると、千葉側に軍配が上げられると思います。 Tx埼玉県区間vs千葉県区間の都市比較
上の表を見る限り、開発余力(人口密度)の点では両者ほぼ互角、都心への時間距離は埼玉側にやや分がありますが、反面、住民の所得水準、財政力指数、他の鉄道路線への乗り換えの便、道路交通の便、有力繁華街の有無など、総合的な「都市力」では、明らかに千葉県側の二都市に分があります。もともと、埼玉県側の八潮市は、鉄道が全く通っておらず、そのため住宅地としての開発が進まず、中小工場や資材置き場が多い所でした。その点は隣の三郷市も同様。ただ三郷の場合は武蔵野線が通りますが、Txの新駅となる三郷中央駅は武蔵野線の駅から遠く離れるため、両沿線を組み合わせた都市開発は難しいでしょう。両市とも都市インフラが未整備で、それだけにTx開通にかける期待は大きいのですが、必要投資額の巨大さに比べて両市とも財政状況が貧弱なのが気がかり。Txによってどれだけ高所得の住民を呼び込み、地価上昇で固定資産税を稼いでいけるか、都市経営の真価が問われます。不利な条件が多いため、余程うまくやらないとミニ開発が横行し、質の低い住宅地になってしまう危険性が大いにあります。 その点、千葉県側の流山と柏は比較的恵まれています。この両市は、比較的裕福な層が多く住み、また交通の便も、八潮・三郷に比べれば格段に良い。鉄道が以前からあったため都市インフラもまずまずのレベルで整備され、流山市域の北部では高級(っぽい)住宅街が広がっています。それに何より、東葛唯一の大繁華街であり、都市文化の発信地でもある柏へのアクセスが良いのが、住民にとっては魅力でしょう。 流山・柏は、都内への通勤客だけでなく、「つくば通勤ピープル」の受け皿になる魅力を秘めています。「つくばよりは都心寄りに住みたい。でも都心は遠すぎる。それに、庭も駐車場も欲しい」と考えるつくば通勤者にとって、流山・柏は格好の住地でしょう。特に柏インターの近くに住めば、常磐高速でつくばまで20〜30分で到達、下の道でも渋滞がないから1時間以内で到達、Tx通勤でもラッシュと逆方向のため、ラクラク座って(?)30分の快適通勤、柏繁華街や東京に手軽に行けて奥さんも子供も大喜び・・・無論、茨城県側に住めば職場にもっと近くなりますが、普通考えて「つくば脱出ピープル」が茨城県内に住むことはまずないでしょう。ですのでTx開通後、流山・柏が彼らの住地として注目される可能性は大です。 但しそれは、流山・柏が「住宅地開発のプロデュースをうまくやれたら」という条件つきです。ある程度高級感のある住宅街というのは、ディベロッパーが一戸あたりの区画を広くとって、街並みを美しく整える必要がありますが、それには行政のコーディネートが欠かせません。流山・柏の当局は、江戸川台東(流山市)並みの高級住宅地開発やルアジーランド流山のような特色ある街区づくりを強く推進し、それよりグレードの落ちる住宅開発を原則認めない、という強い意志を持つべきで、それがうまくできれば、都内やつくばに勤める比較的高所得の住民を集め、市民税や固定資産税収入で財政を安定させ、それを都市基盤整備や福祉に回すことができるでしょう。逆にできなかった場合、ミニ開発が横行し、そこに低所得層や単身者が多く住み着き、結果財政を圧迫することになりかねません。ただでさえ地価が安く、イメージの良くない沿線なのですから、そのハンディのなかでできるだけ高級感のあるエリアに仕立てあげる開発・イメージ戦略が必要となります。 なお、これまで述べてきたことは、「東京に通勤する人向けの住宅開発」に限った話です。しかし、都市というものは常に流動します。これまで栄えていた街が一気に寂れたり、またその逆のことが常に起こります。そのキーワードは、「産業」です。そこで次は、Tx沿線に近い将来発達しそうな新産業について、予測してみました。 B【沿線新産業開発】:Tx効果で「つくば」が台風の目に Txは、日本全体が注目すべき鉄道だと思います。何と言っても、起点が秋葉原で終点がつくば・・・世界最大級の電機・IT産業集積地と、世界最大級の学術研究都市を結ぶ鉄道、言い換えると、「日本の2大理系ゾーン」を結ぶ鉄道なのです。 そもそもTx自体、つくば研究学園都市への人材供給鉄道としての役割を期待されていました。つくばは茨城県にあり、そこは鉄道が全く通っていない土地ですが、常磐高速を使えば都心からたった1時間の距離。もし日本がアメリカ並みにモータリゼーションが発達した国であったなら、日本の4割もの研究所が集中するつくばには優秀な人材が集まり、大発展していたことでしょう。しかし皮肉にも、日本は「鉄道の国」でした・・・ 完璧な都市計画、アメリカと比べても遜色ない、街路樹の植えられた片側2〜3車線の道路、巨大ショッピングセンターでお買い物・・・でもそんな環境にどうしても馴染めないのが、日本人の悲しい性。「赤ちょうちんが欲しいよぉ」・・・街の華やぎを求めて、或いは東京への便の良さを求めて、柏や我孫子からの通勤生活を選んだつくばピープルも大勢います。ですが彼らの大多数は、つくばへの「移住」を選びました。かの地に鉄道が通っていない以上、一家で移住する以外に選択肢がなかったのです。 日本国の一大プロジェクト、つくば研究学園都市の開発から20年以上が経ちましたが、都市つくばはどこまで発展したでしょうか?確かに人口や商店は増えた。でも、幕張副都心みたいに一流ホテルが建ち、外資系のインテリジェントオフィスが進出したでしょうか?おしゃれな街並みができて、首都圏のトレンディスポットになったでしょうか?国家が巨費を投じた割には、民間産業が育たず、「官需」系の地味な研究所や学習塾が林立するだけの、都市としての魅力に乏しい無機質な街、それが今のつくばではないでしょうか? ですがTx開通で秋葉原と45分で結ばれれば、つくばに大きな変化をもたらすでしょう。それは「諸刃の剣」で、一方では前に述べたように、東京に住みたいつくばピープルの大量流出につながり、既存市街地では空洞化が起こるでしょう。ですが一方では、都内に多く存在する優秀な頭脳の持ち主が、東京暮らしを捨てることなく、つくばで働けるようになります。これまで実質的に閉ざされていた「東京とつくばの頭脳の交流」が、Tx開通にとって可能になる。その意義は決して小さいものではありません。 今の日本では、産官学連携による次世代技術(バイオ・ゲノム、IT・ロボット、ナノテク、新エネルギー・環境技術など)の開発と、それを通じた新産業の創出が、急務になっています。その流れのなかで、全国の4割もの先端技術研究所が集中するつくばの頭脳資源を、活かさない手はありません。実際つくばでは産総研、つくば研究支援センターなどが中心となって、新産業創出支援(インキュベーション)を盛んに行うようになりましたが、その決め手になるのは、やはりTxを利用した東京との頭脳交流でしょう。すなわち、東京の文化生活を楽しみながら、つくばで新技術の開発やベンチャー企業の経営に関わる若い世代が増えれば、つくばは新しいタイプの産業都市として発展する可能性が出てきます。 一方、Txの反対側でも大きな動きがあります。秋葉原では世界有数のIT産業集積地という利点を生かして、東京都が主体となる新産業創支援施設、秋葉原ITセンターが、2006年の開業を目指して造成中です。また、つくばと秋葉原の中間地点にある柏の葉地区(柏市)では、東葛テクノプラザを中心とする、千葉県主導のインキュベーション施設が1998年から動き出している他、この地域は県からゲノム技術の新産業創出特区と位置付けられています。このように、Tx沿線は首都圏でも特に新産業創出プロジェクトが目白押しの地区なのです。 それらの試みが将来実を結び、雇用を作り出せるようになるかは、現時点では分かりません。ビジネスが成功するには、中国語で「天和地和人和」というように、天(タイミング)、地(立地)、そして人材、それらがうまく結びつくことが必要です。役所が施設をつくっただけで新産業が生まれるわけでもなく、要はそこを舞台としてどんな出会いがあるのか?「熱き心」を持った同士、人生と人生がぶつかり、夢と夢がぶつかり、刺激を与え合うなかでより大きな夢を描いていける場であるのか?その辺がポイントとなるでしょう。要は、「人材の交流」が決め手になるのだと思います。 そう考えた場合、都心にある秋葉原はもちろん、膨大な研究資源を抱えるつくばにも、21世紀型の産業都市として発展するチャンスは十分あると思います。つくばが発展した場合、東京との距離面で不利だった茨城県内住宅地が脚光を浴びる可能性もあります(それ以前に、茨城県内の他地域からつくばへの移住が起こるでしょう)。柏の葉については、よく分かりません。関連ホームページを見る限り、つくばや秋葉原よりずっと小粒だし、本格的な新産業都市をつくろうというよりも、理系大学や民間技術研究所をたくさん集めた学園都市を目指しているような気もします。それでも、ある程度の雇用創出にはなるし、東大ブランド等で住宅地に多少プレミアがつくのかもしれませんね。 C【沿線商業開発】:北千住vs柏の一騎打ち+銀座、つくば 住宅地開発、新産業開発の予測をもとに、今度はTx沿線の商業開発がどうなるか、考えてみました。その場合、焦点となるのは「柏」です。千葉〜茨城の広い範囲から集客し、現時点で常磐沿線の「勝ち組」商業都市として君臨する柏は、Tx開通によって流山、柏北部方面の商圏を奪われると考えられています。今後、柏商圏がどうなるのか、柏から離れた商圏人口はどこへ行くのか、その辺がポイントになるでしょう。 「Txが通れば、沿線の流山に新しい商業施設ができて、繁栄する。その結果、柏は流山に商圏を奪われ、衰退する」という言葉をよく聞きます。でも、本当にそうでしょうか?「ローマは一日にして成らず」、そして、「柏は一日にしてならず」・・・私は柏で生まれ、柏駅前の発展を見ながら育ちました。過去30年間の柏商業の歩みを、肌で感じてきました。その実体験から言えることは、「柏は、一夜にして発展したのではない」、「鉄道が通ったからといって、流山が一夜にして、柏にとって代わることはできない」・・・ 柏は30年の長い歳月をかけて、徐々に発展し、成熟してきた都市です。歴史を振り返ると、柏は1973年に、まず大胆な駅前再開発をやりました。そこに駅前百貨店ができて、徐々に人の賑わいができました。いろんな価値観を持った人々が集まるなかで、いろんなジャンルの専門店街ができ、商業都市としての魅力を増しました。すると今度は、買い物客でなく街歩きに来る人々や、柏を舞台に表現活動(ストリートミュージシャンや絵描き)をする人々が現れ、そこに柏レイソルのサポーターが交じって、音楽やスポーツ、ファッションの面で文化発信ができる街になりました・・・人々が30年かけて、ゆっくり育てあげた柏の都市文化、これはハードではなくソフトであり、もちろん、一朝一夕に真似できるものではありません。たとえ流山にどんな大きな商業施設ができても、柏の都市文化まで移植することはできないのです。 さらに言うと、現代は鉄道が通れば駅前に繁華街ができる、という時代でもありません。人口が増え、経済が順調に発展してきた'70年代以前ならいざ知らず、'80年代以降になると、人口増加が鈍化しモータリゼーションが発達したこともあり、新しい通勤路線をつくってもその沿線上に繁華街ができるわけでもなくなってきました。事実、最近開通した北総開発鉄道や埼玉高速の沿線に、大した繁華街は形成されていません。時代が変わったのです。 ですので、来年開通するTxにしても、その沿線に柏みたいな大繁華街が形成されるとはあまり考えられません。もっとも、快速が停まる南流山、流山おおたかの森、守谷駅などでは、それなりに人口も増え賑わうでしょうから、日常品が揃うスーパーや量販店、百貨店の小型店舗くらいは立地するでしょう。しかしそこまで・・・というのが私の予測です。 じゃ、柏は安泰なのかというと、そうでもない。これからは北千住の商業が台頭し、柏にとって手強いライバルになると思います。北千住は東京東部における一大ターミナルで、常磐線、東武伊勢崎線、Txという3つの大型通勤路線の結節点でもあります。その恵まれた立地を生かし、北千住西口では現在大規模な再開発事業が行われ、今春にも完成予定。その暁には、駅ビルのルミネに加え、丸井、東急ハンズを擁する、かなり大きな商業地に変貌します。Tx沿線で至近距離にある埼玉県八潮、三郷などは、現時点ではこれといった商業地がないので、すんなり北千住の商圏下に入るでしょう。また、北千住は常磐線からも東武伊勢崎線からも集客できる上、都心回帰の流れで若くて感度の高い人口がどんどん流入してくると思われ、そのポテンシャルは大きいです。それに対し、柏としても手をこまねいているわけではなく、これまでパッとしなかった柏駅西口の再開発に力を入れたり、回遊性を高める街区設計にしたりと、街の魅力を増すためにいろいろ工夫を重ねてきてはいます。 その考えると、近い将来、Txと常磐線沿線の広域商圏争いは、北千住vs柏の一騎打ちになる可能性が高いでしょう。特に流山を舞台に、両都市による熾烈な争奪戦が繰り広げられるでしょう。現時点では、まだまだ柏の方が商業集積でも文化発信力でも勝っています。ですが北千住は都内の便利の良い場所にあるのが強みです。その将来性を買って有名民間企業が北千住に美術館やコンサートホールを造るみたいなことになれば、柏は霞んでしまうでしょう。それに2009年頃には、Txが東京駅まで直通するでしょう。そうなれば、Tx住民が乗り換えなしで銀座・丸の内に買い物に行けることになり、柏と北千住の商業は苦戦を強いられるでしょう。 もう一つ、ワイルドカードとなるのがつくばの存在です。現時点ではまだ形になっていませんが、将来、つくばが「日本のシリコンバレー」みたいになれれば、それに伴い商業施設も充実するでしょうから、その際は守谷あたりの新住民をめぐって、つくばvs柏vs北千住の商圏争いになる可能性があります。 ここまで書きましたが、商業開発も産業同様、「人」がつくりあげるものです。柏、北千住をはじめ、沿線都市が自身をどれだけうまくプロデュースし、若者の感性にフィットし、ファミリーに愛される、誰もが住んでみたいと思われる町に生まれ変わるのか、それが基本的には街の盛衰を左右すると思います。 最後に、東葛のTx沿線地域(流山と柏)が、都内通勤サラリーマンが家を買い、暮らし、子供を育て、或いはマンション投資などをするのに適した地域であるかどうかについて、私見を述べます。 私は、基本的にこの地域は「買い」だと思っています。その理由は、この地域が近郊住宅地として、Tx沿線のなかで「よりマシ」な部類に入ると思うからです。無論、東横線、田園都市線、中央線みたいな首都圏の先進地域と比べてしまっては可哀想ですが、でも沿線の他の地域に比べれば、都市インフラ整備、都内への時間距離、鉄道・自動車交通の便、住民の裕福さ、自治体の財政力、繁華街(柏や東京)への便の良さ・・・総合的に考えて、バランスの取れた良環境地域と言えましょう。 では、どのくらいの予算があればこの地域に住めるのか?2003年地価分布図によると、流山や柏北部では地価が1m2あたり10万円そこそこの場所が多く(つくば中心地より安いかも・・・)、ということは80坪(267m2)の広い土地付き物件を買っても土地代はせいぜい2000万台の後半、上物を合わせても新築で4000万円の半ば、中古なら、3000万円台の前半からあります。ちなみに私は、流山おおたかの森駅徒歩圏内(柏市西原)で、築年数は20年以上経ってますが土地86坪(285m2)で5部屋あって3150万円という物件の広告を見たことがあります。要は、「普通のサラリーマン家庭が、通勤1時間圏内で80坪の土地付きの家に住める」ってことです。10年前には、考えられなかったことですよね。 全国的な地価下落傾向のなかで、Tx沿線地域の地価も例にもれず下落中ですが、下落幅は周辺地域に比べて明らかに少ないです。私は、ここ2〜3年様子をみて、「底値を打った」と思ったらすぐ買うのがいいんじゃないかと思っています。 ですが詳しくみていけば、東葛地域のTx5駅にも、それぞれ特色があります。それを見ていきましょう。 1.南流山駅(武蔵野線と連絡、Tx快速停車)←おすすめ度:40% 東京方面からみて、千葉県で最初の駅が南流山です。この駅には快速が停まり、それに乗れば秋葉原まで20分強(但し通勤電車は激込みと思われ・・・)、武蔵野線との連絡で東京駅やディズニーランドへも直通あり、という便の良さから、人気が出そうな駅です。おそらく、東葛5駅のなかで地価が一番高くなる駅だと思われます(2003年の公示地価では、1m2あたり16〜18万円)。 但し、住環境面にやや難ありと思われます。南流山の市街地は狭く、家がかなり建て込んでいます。道路も狭いです。すぐ西側を江戸川が流れているため、住宅地の発展余地はあまり残されていないようです。新しい分譲地は、駅から結構離れたところになるかもしれません。また、交通の便が良いだけに、単身者用の賃貸マンションがたくさん建ち、住宅地としての落ち着いた景観を損なってしまうかもしれません。 身近な自然は、それなりに残っているようです。詳しくはこちら。 2.流山セントラルパーク駅←おすすめ度:55% すげー名前の駅ですね(ニューヨークか?)。このあたりは写真の通り現時点ではな〜んにもありません。のどかな住宅地です。流山市総合運動公園(アスレチックもある!)が近くにあり、健康的なファミリー向けの住宅地になる可能性が高いでしょう。ちょっと離れれば、ご覧の通りの田園風景、でも駅ができたら宅地開発されてしまうんだろうな。この駅には快速は止まらず、鈍行のみです。 3.流山おおたかの森駅(東武野田線と連絡、Tx快速停車)←おすすめ度:70% ここもすげー名前・・・近くに、猛禽類の「おおたか」が棲息しているところから、この名前がつけられたそうです。この駅は、Tx快速が停まるほか、東武野田線で柏までわずか2駅、ということで、若いファミリーに人気が出そうです。また、この辺りはご覧の通りまだな〜んにもないところなので、南流山と比べてより広い区画のファミリー向け住宅や、駅前商店街なども新たにできそうです。柏繁華街へのアクセスの良さを考えると、かなりおすすめできる駅です。あと、常磐高速流山インターにも近いです。 4.柏の葉キャンパス駅←おすすめ度:75% この辺は、Tx沿線のなかでもかなり特色ある地域です。このあたりは純粋な住宅街というより、学術研究都市といった方が良いかもしれません。駅名の由来は、この駅を最寄りとする東大のキャンパス(物性研、宇宙線研)ですが、両者の間は結構距離があります(15分くらい?)。また東大のほか、千葉大、江戸川大もこの地区にあり、東京理科大も結構近いです。また、柏の葉といえば、Jリーグ・柏レイソルのホームグラウンドの一つですが、そこも駅から結構離れています(徒歩20分くらい)。駅は国道16号線に近く、常磐高速柏インターまですぐ着けます。 この地区は、住宅地としても将来性ありそうです。Tx快速はたぶん停まりませんが、東大ブランドや学術都市としてのイメージから、住宅地にプレミアがつきそうですし、またつくば学園都市勤務の人々が、千葉県内で一番住んでくれそうなエリアでもあります。私としては、中央線の国立みたいな美しい街並みの学園都市を目指して欲しいのですが・・・ なお、千葉県や柏市はこの地域を新産業創出地区と位置付け、住宅地よりもオフィスやラボにしたがってますから、当駅周辺に住宅地が十分供給されるかどうかは分かりません。おそらく、駅からかなり離れたところで、少し高級っぽい住宅地の暮らしになることでしょう(今のところ、地価は1m2あたり15〜16万円と、沿線千葉県区間では南流山に次いで高い)。なお、当地区から東京駅からの直通高速バスもあります。 茨城県に入る直前、千葉県最後の駅が、この「柏たなか駅」です。この近辺は古くから「田中地区」と呼ばれ、それがひらがなとなって、駅名の一部となりました。東葛5駅のなかで東京から一番遠く、快速も停まらないので、おそらく一番マイナーな駅になると思われ、その代わり周辺地価は一番安くなると予想されます(予想地価は1m2あたり10〜12万円)。 この地域の目玉は、何といっても利根川の河川敷。首都圏とは思えないほど雄大な景色が広がり、地平線さえ見えます。自然環境は掛け値なしに素晴らしい。この辺は河岸段丘の緑地になっているのですが、緑地をつぶしてリバービューの住宅街をつくるという話もあり、それが実現すれば、日本離れした住宅ライフが実現する可能性もあり、将来が楽しみです。また、ハイソっぽい学園都市になりそうな「柏の葉キャンパス」から自転車で10分という近さも魅力です。要は、ちょっと田舎っぽい暮らしが好きな向きにおすすめのエリアかな。
最後に、「これが東京近郊か?」と目を疑うほどの、我が東葛の美しくのどかな風景を、いくつかご覧ください。 |
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