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柏駅前13年ぶり地価上昇特別記念企画!!
柏ブランド都市戦略 (2004/3/30)


1.柏駅前地価上昇の理由

 シドニーに住む私の手元に、日本からちょっとだけ嬉しいニュースが入ってきました。それは、国土交通省が発表した2004年1月1日時点の地価公示です。関連ニュースによれば、全国的には住宅地、商業地とも相変わらず地価下落傾向が止まらないなかで、大都市圏の一部では横ばいから上昇に転じた地点が見られ、千葉県でも、バブル崩壊後初めて上昇地点が現れたという。県内59市町村1570調査地点のうち、上昇した12地点の内訳は、住宅地が10地点、商業地が2地点。前者は全て浦安市と市川市が占め、後者は私の地元・柏の駅前にある2地点が占めたという。より詳しくいえば、

1m2あたりの地価(2003→2004)
柏駅東口(柏市柏1-4-27):132万円→135万円 (2.3%増)
柏駅西口(柏市旭町1-1-4):108万円→109万円 (0.9%増)

 なんだそうな。東口、西口いずれの地点も、1991年以来、13年ぶりの上昇、ということになります。

 柏駅前の地価上昇・・・これは、柏の商店主や行政、住民にとって大変喜ばしいニュースでしょう。加えてこれは、「かなりすごいこと」です。実際、2004年の公示地価を詳しく見たところ、商業地として地価が上昇した地点は、首都圏でも数えるほどしかありません。千葉県では柏以外ゼロ、神奈川・埼玉両県ともゼロ、東京都でも、丸の内や銀座、表参道、渋谷といった超一級繁華街のほかは、ニコタマダムで知られる屈指の人気エリア・二子玉川くらいしかありません。横浜吉祥寺といった巨大商業地や、鉄道交通の大拠点・大宮、県都・千葉市でさえ上昇していないのに、そういったエリアを差し置いて、柏が一躍、あのニコタマと並んで地価上昇地点にのし上がったのですから・・・

(MSNマネーより抜粋):「引き続き高い上昇率が見られた銀座や表参道など海外ブランド店舗などの立地が進んだ地区のほか、同省によると、二子玉川駅や柏駅周辺といった都心部以外でも上昇に転じた地点があった。

 それでは、なぜ柏駅前の地価が上昇したのか?各専門家は、次のように分析しています。

(千葉日報より抜粋):「都内の収益性が高い土地は、外資系の投資信託中心に人気が高まっており、それが都心に近い県内地域にも波及してきた」by千葉県不動産鑑定士協会の阿多真人氏
(東京新聞より抜粋):「柏駅周辺は交通の便が良く、商圏が広いため需要が増えている。オフィス需要も高い」by千葉県宅地課
(朝日.COMより抜粋):「地点別ではブランド力のある浦安市や、柏の駅前の需要が高く上昇した」by千葉県宅地課

 いずれの論者も、土地の「収益性」や「拠点性」をキーポイントとして挙げており、東京近接、広い商圏、ビジネス需要、ブランド力など、数々の恵まれた条件を備えた柏駅前の収益性が高く評価された、その結果としての地価上昇だと述べています。後で詳しく話しますが、私はこのうち、「ブランド力」を21世紀日本の都市発展の鍵として大きく注目しています。 

 ここで気になるのは、柏駅周辺の地価上昇が、一過性のもので終わるのか?或いは今後も引き続くのか?という点です。もちろん、将来のことなど誰にも分かりません。が、もし日本経済が大きく落ち込まない限り、ここ数年に関して言えば、私は結構楽観しています。というのは、

柏駅周辺の地価は、2002年後半から、実質的に下げ止まっている。
柏駅周辺の地価は、都心から同程度の距離にある他の近郊商業都市と比べて、まだ3割程度安い。
都市の魅力を増す、柏駅周辺の再開発は、これから本格化する。

 この不況の時代において、地価は再開発と密接に関連しています。例えば柏に先駆けて、2001年までに地価が下げ止まった東京都の立川駅前は、近年駅前の大規模再開発を行い、商業施設や新交通(多摩都市モノレール)の集積が効を奏して、いち早く地価下落からの脱出を果たしました。立川に限らず、首都圏で地価下落から脱した地点の多くは、再開発に成功して、収益性を上げることのできた所です。

 その点、柏が興味深いのは、「再開発が本格化する前に、すでに地価上昇を果たした」ことです。柏駅前の大規模再開発は、すでに30年も前、1973年に行われました(第一次再開発)。それは、日本で初めて駅前にペデストリアンデッキ(高架歩道)を設けた、当時としては斬新なものでした。現在では首都圏でも関西圏でも、ペデストリアンデッキのある駅など珍しくありませんが、その発祥の地が柏なのです。日本の都市計画史上でも注目されるこの再開発は、もちろんタイミングが抜群だったことも幸いしましたが、これによって柏駅前商業は大きく発展し、今日に至るまで「30年の繁栄」を手にしたのです。

 その柏駅前が間もなく、30年ぶりに、再び大規模再開発に乗り出します(第二次再開発)。柏駅周辺の20ヘクタールは、2003年6月、国の都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域に指定されましたが、これを受けて柏市は再開発の基本計画をかためました。その骨子は次の通り、

東口約十五ヘクタールは四本の道路を拡幅。歩行者専用道路、ファッションアベニュー、アミューズメントアベニューなどと位置付け、文化施設、スポーツ施設、飲食店などを誘致して新しい商店街とする。これに大型複合店舗などの八つの核施設を配置する。また、ストリートミュージシャンや若者であふれるダブルデッキは新築して延長する。

西口の約五ヘクタールは、末広あけぼの線の幅員二十五メートルの都市計画道路を完成させるため、高島屋柏店を取り壊し、建物の高さ制限を緩和した上で新築してもらう。

 これを全部やろうとすると、15年はかかるといわれる壮大な都市再生プロジェクトです。出費も膨大なものになるでしょうが、私は柏が都市の魅力を増し、今後30年の繁栄を手にするためにも、この再開発は不可欠だと考えます。これがうまくいけば、立川、町田、大宮、千葉市など、「ライバル都市」と比べてまだ3割も安い柏の地価は間違いなく値上がりするでしょう。柏に住みたい方は、まだまだ安い今のうちに、一戸建てでもマンションでも、買っておくと良いかもしれませんね♪

 私は、今回の再開発が柏の「都市ブランド力」を戦略的に高めていく、意志と方向性を持つべきだと思います。これからの少子高齢化、人口減少社会にあって、柏のような中堅都市が繁栄を手にするために不可欠なのは、都市ブランド力の強化です。今日の柏は、確かに「千葉の新宿」、「東の渋谷」、「プチ原宿」かもしれない。でも、それだけでは「東京の模倣に成功した近郊都市」に過ぎません。今後はそこから一歩脱皮して、「柏発ファッション」、「柏系音楽」、「柏系スポーツ」といった都市文化を振興し、それを全国区、いや海外にまで広めていく必要がある。すなわち、都市・柏のブランド力を高める必要がある。そのためにはどうすれば良いか、今回の小論で私見を述べていきたいと思います。

 あと、私自身について一言。私は、柏で生まれ育った者です。今は海外(オーストラリア)に住んでいますが、柏市内に不動産を所有しており、そのため柏の発展に大きな関心(直接の利害)を持っています。同時に、柏という都市を愛し、その可能性と将来性を信じる一人です。都市としての歴史が浅く、こだわりなく新しいことをどんどんやってしまう柏の文化風土、他の街では迷惑がられるストリートミュージシャンを歓迎する柏の暖かい心、若者や女性に愛される街を目指して、常に装いを変え続ける柏の新鮮さ、自分らしさを思う存分表現できる街・柏、その自由な雰囲気を求めて、他都市からデザイナーが柏に移住し、毎月のように古着屋、雑貨屋がオープンする、すると今度は、有志が「古着屋・雑貨屋マップ」までつくってしまうボルテージの高い街、駅前繁華街だけでなく、普通の住宅街にもセレクトショップが自然発生してしまう高感度な街、柏レイソルが勝てば、夜遅くまで「レイソル酒場」が盛り上がる元気な街・・・

 ここ柏の地には、もはや東京のコピーではない、独自の都市文化が芽生えつつあります。これからの柏は、市民一人一人がわが町の魅力ある都市文化に気づき、大事に育て、同時にそれを誇り、他の土地に暮らす人にも分かりやすく表現する、すなわち、都市文化を発信していく必要があります。その具体的な表現方法が例えば「柏発ファッション」であり、「柏系音楽」、「柏系スポーツ」であり、それらによりもたらされる有形無形の価値が、柏の「都市ブランド」です。

 1973年の駅前再開発は、結果として柏にその後30年の繁栄をもたらしましたが、柏が今後30年の繁栄を手にするためには、「都市ブランド戦略」が不可欠だと、私は考えます。

柏の自慢は、街歩きが楽しいこと。下の地図はかしわインフォメーションセンターで入手できます。
柏のラーメン屋マップ
柏の古着&雑貨Shopマップ

2.都市のブランド力とは?

 都市のブランド力という面で、いま世界の頂点に立つのは、おそらく、パリとニューヨークだと思われます。これはもう、言うまでもありません。パリ発のファッションブランドが、いかに全世界の女性の憧れの的であることか、ニューヨークで流行った音楽やエンターテインメントが、いかに全世界に影響力を持つことか・・・その他、ブランド価値の高い都市としては、欧米世界中心になりますがロンドン、ローマ、ミラノ、ベネチア、ウィーン、ボストン、サンフランシスコ、シドニーなど、アジアでは東京、香港など・・・

 日本では、たぶん東京と京都が双璧でしょう。現代日本における東京文化の影響力については言うまでもありませんが、古都・京都も膨大な歴史文化遺産を背景に、巨大なブランド力を持っています。例えば数年前、JR東海のコマーシャルで、「そうだ、京都行こう!」というのがありましたが、私はあれほど見事なキャッチコピーを他に知りません。「そうだ、京都行こう!」、このわずか7文字のなかに、京都という都市が暗黙のうちに物語るブランド価値が、凝縮されています。「京都行こう」・・・この言葉は、京都という、歴史と現在が重層的に折り重なった都市空間の中で味わえるであろう質の高い時間が、人々のイメージをかきたて、かの地にいざないます。これだけは、他のどの都市も真似できません。

 首都圏(東京以外)で最もブランド価値の高い都市は、横浜でしょう。19世紀半ば、ペリー黒船来航の数年後に開港した横浜は、日本にしては比較的歴史の浅い都市ですが、それ以降は、日本における西洋文化摂取の窓口として、国際都市として、常に栄えてきました。横浜で流行したスタイルや文物が全国に広まるなど、トレンドリーダーとしての役割も果たしてきました。今日の横浜は、東京のベッドタウンという色彩が強い都市ではありますが、それでも、横浜を代表する、もとい「日本一の商店街」といわれる元町商店街を歩けば、キタムラのハンドバッグとか、ミハマ商会の靴とか、スタージュエリーなど、横浜が生んだブランドショップの数々が所狭しと並んでいます。

 これらの横浜発ブランドは、横浜という都市装置、都市文化のなかから生まれ、育ってきました。言い換えれば、「横浜にあったからこそ発展した」わけで、例えば同じものが千葉市やさいたま市にあっても、もちろん柏にあっても、これほどの成功は納められなかっただろうと思います。横浜の持つ都市ブランド力が、新しい産業を興してしまった、その好例といえましょう。

 私は、横浜のような先進事例に学びつつ、柏が今後、独自のブランド価値を持つ都市に成長していくべきだと思います。都市ブランド化といっても、それはもちろん、有名ブランド店を誘致したり、そのためのハコモノをつくればよいという話ではありません。例えば、いまの柏にルイ・ヴィトンやグッチ、プラダなどの店舗が建ち並ぶとは当然考えられませんし、あったらあったで、笑われるだけでしょう。人口130万を超える福岡市でさえ、スーパーブランドシティなるものをつくってそれが悲惨な失敗に終わったといわれているのですから、30万都市の柏で似たようなことをやる意味は全くないでしょう。

 いま柏がやるべきなのは、首都圏における「若者の街」、「おしゃれな街」、「スポーツと音楽の街」という都市イメージの確立と、そのプロモーションでしょう。柏駅前は、休日ともなればたくさんの若者が集まってきますが、彼らの大部分は柏周辺か、あるいは同じ常磐沿線の茨城県方面からやってくる人たちです。そういう地域のなかでは、確かに柏の知名度や評価は高い。ですがそれは、首都圏全体でいえば、ごく小さいエリア内での名声にすぎません。特に東京・神奈川方面に住む人の間では、柏の知名度は明らかに低いし、首都圏屈指の不人気沿線である常磐線上に位置していることもあって、イメージもあまり芳しくないようです。

 ですから、まずは首都圏全体で柏の知名度向上をはかり、そのためのイベントや宣伝、店舗誘致を効果的、継続的に行っていく必要があります。但し、東京・横浜に住む人は、身近に魅力的な街がたくさんあるので、そういう人がわざわざ柏に来て遊んでくれるようになるまでには、相当時間がかかるでしょう。思うに、当面狙うべきターゲットの一つは、さいたま市周辺だと思います。あの地域は、東京への交通アクセスが良いため、休日は都内の池袋、新宿、渋谷などに出かけて遊ぶ人が非常に多い。また、そうした「東京流出傾向」のため、人口の割に地元の商業集積は進んでいません。あのエリアに住む若者をして、「一月に週末が4回あって、そのうちの3回はもちろん都内に行くけど、1回は柏に行ってもいいなあ」と思わせるにはどうしたら良いのか?

 或いは、千葉県総武線(市川、船橋、習志野、千葉)方面も、有力ターゲットの一つでしょう。あの沿線は「繁華街の群雄割拠状態」で、船橋、津田沼、千葉といった、似たような規模の街が数珠繋ぎに並んでおり、常磐線における柏のような、「核となる駅前繁華街」がない。そのため、休日のショッピングは沿線の各繁華街に分散するか、電車に乗って都内に出るか、或いは幕張など東京湾岸に新しくできた大規模商業施設に流れる傾向がある。そこで、あのエリアに住む若者が、「月に1回は柏に行ってもいいなあ」と思うようになるにはどうしたら良いのか?

 そう考えたとき、「商業集積」だけでは力不足です。いまの柏駅前は、確かに埼玉エリア最大の都市・大宮や、総武エリア最大の千葉市に匹敵する商業集積がありますが、それだけの話であれば、彼らがわざわざ電車に乗って柏に来る理由もありません。要は、「商業集積プラスα」が必要なのです。そのプラスαが何なのかといえば、柏の場合、都市文化であり、都市のブランド力なのです。埼玉の人が大宮の街で、千葉市の人が千葉の駅前で、得られない「何か」を、柏は持つ必要がある。「やっぱり柏はすごいね」、「また来たいね」と思ってもらい、リピーターになってもらう必要があるのです。

 それを突き詰めて考えると、結局は東京との競争、もとい東京に対する独自性の確立、ということになるのでしょう。実際、千葉や大宮の人にとって、柏に出るより都内に出る方が近いし、電車の本数も多くて圧倒的に便利です。東京は大きいし何でも揃っているし、同じ土俵で勝負すれば、どう考えたって柏に勝ち目はない。だから、柏は「東京にない何か」を持つ必要がある。それは、もちろんモノではありえない。そこで、都市文化という無形のソフト、東京とは一味違う「柏の個性」が必要になってくるのです。

 横浜には、それがある。中華街があり、元町商店街があり、みなとみらい21があり、山下公園、港の見える丘公園がある。それらを組み合わせて遊ぶと、東京では得られない「横浜体験」、横浜ならではの都市観光ができる。もちろん、柏と横浜では都市の個性が全然違うので、猿真似しても意味がありませんが、柏という都市が持つ魅力的な文化、例えば休日の夜は街全体がストリートパフォーマーによる巨大な劇場と化していることや、特にファッション面でクリエイティブな活動が盛んで、「古着屋」というニュービジネスさえ生まれていること・・・それを大事に育てつつ、首都圏全体に向けて宣伝していく必要がある。柏の街を舞台に、若者に自由な自己表現の場を与え、それを周りの皆で盛り上げていく。「柏には面白い人がたくさんいる」、「柏に来れば成功できるかもしれない」という素地をつくっていく・・・

 その地道な積み重ねによって、東京では味わえない「柏体験」、「柏ならではの都市観光」が成立するようになる。その過程で、柏という都市ブランドが出来上がっていくのだと思います。思い起こせば、東京だってパリだって、横浜だって、鋭い感性を持った若い人々がたくさん集まって、自由な発想でいろんなことを試みるうちに、次第に都市ブランドが確立されてきたわけです。だから、似たようなことが柏だってできるはず。

 柏は、都市ブランドを狙える非常に良いポジションにあると思います。柏の商業や行政に携わる人は、若者を中心とする都市文化振興の可能性にすでに注目していて、90年代後半からユニークな試みをいろいろ行っています。例えば、ストリートミュージシャンのライブコンテスト「ストリートブレイク」は既に5回を数え、優勝者がプロデビューを果たすほどになっているほか、一般の若者がモデルとなり周辺の店がコーディネートを競う「ストリートファッションショー」、柏をピーアールするオリジナル映像作品による「コマーシャルコンテスト」などを展開しています。それらの試みの一つ一つが、柏の都市ブランド力向上につながっていくのだと思います。

3.千葉県イタリア化計画

 次に、私が都市ブランド戦略を重視する理由の一つに、人口減少があります。日本は早ければ今年中にも、総人口が毎年減り続ける「人口減少社会」に突入すると言われています。首都圏について言えば、人口減少はもう少し先の話ですが、それでも2010年代には人口減少が始まり、あと30年後に人口増加が見込まれるのは、日本全国のなかでも滋賀県だけ、と言われています。

 もちろん、30年も先のことは非常に予測しにくいわけで、その頃までには、「移民を受け入れて人口2億人を目指そう!」みたいな政策が効を奏して、大都市では「ご近所がアラブ人やベトナム人ばっかり」みたいな事態も珍しくなくなり、移民のおかげで人口減少が止まった♪みたいなことになっているのかもしれませんが、でも普通に考えて、今後数千万単位の人口減少を補うだけの移民の大量流入は考えにくいわけで、これから20〜30年後、日本の人口が今より少なくなり、年齢構成も高齢化しているのは間違いないところでしょう。

 人口減少時代の足音は、首都圏でも確実に聞こえてきています。「都心回帰」という現象は、人口減少時代の申し子と言ってよいでしょう。実際、千葉県木更津や茨城県土浦など、東京都心から60〜70km離れた地域は、バブル期前後に東京通勤圏住宅地として開発されましたが、現在では都心回帰の影響をモロに受け、人口減少や中心街の衰退という現象が顕著にみられます。柏のある常磐線沿線でも、都心40〜50km圏にある茨城県取手・藤代ではすでに人口減が始まっており、その動きは都心30km圏の柏に向けて、ヒタヒタと迫っています。

 もっとも柏にいると、人口減少や高齢化なんて実感できませんけどね。相変わらず駅前の人通りはすごいし、駅近くで大規模マンション建設がどんどん進んでいますし、若い世代もまだまだ多いですから・・・ですが、柏の後背地となる住宅地域では現在急速に高齢化が進んでおり、今後人口減少が進むことはほぼ確実。これからの柏は、「年々、周辺人口が減っていく」という事態と正面から向きあいつつ、今日の繁栄を維持していかねばなりません。無論これは柏だけの問題ではなく、首都東京を含めた日本全国の問題でもあります。

 今後、全体のパイが増えない、下手したら減っていく、という状況のなかで、都市間の競争はより熾烈な、生き残りを賭けたものになっていくでしょう。全体のパイが増えている時代であれば、成功する都市は大成功するし、成功しなかった都市もそこそこのレベルまでいける可能性が高かった。でもこれからは違う。成功した都市だけが発展し、成功できなかった都市は露骨に没落していくでしょう(というか、すでにそうなっていると思います)。

 さらに、人口減少時代における都市間競争は、量的拡大が意味をなさなくなりますから、その分、個性やクオリティの面を厳しく問われることになると思います。すなわち、特色のある都市は生き残り、ない都市は没落するという、厳しい淘汰のメカニズムが働くことでしょう。その中で、柏が今後も「生き残り都市」、「勝ち組都市」であり続けるにはどうしたら良いか?その決め手になるのは「街の個性」や「クオリティ」であり、それをマーケティング的に表現すれば、「都市のブランド力強化」だと思います。

 人口減少といえば、面白い国が一つ思い浮かびます。イタリアです。この国は、現時点では日本より高齢者の人口比率が高く、特殊出生率が低く、20年後には日本と同じく、人口の約2割が減少していることが確実とされる、「世界一の老人大国」です。面白いことに、このイタリアという国は、「都市のブランド力」という点でも、世界の最先端を走っています。ローマ、ベネチア、ミラノ、フィレンツェ、ナポリ、シエナ、ボローニャ・・・世界中の人々を魅了する、強烈な個性・文化を持った都市が、キラ星のように並んでいます。ユネスコの世界文化遺産が世界一多いのも、このイタリアです。

 少子高齢化・人口減少社会というと、どうしても暗いイメージで語られることが多いですが、世界でその最先端を走っているのがイタリアだとすれば、イメージ的には何だかカッコいい・・・確かに、猛烈に高齢化してはいるんだけれど、何だか、みんな人生をエンジョイしているようなイメージがあるし、アングラ経済とかも盛んで見かけよりずっとリッチにも見えるし、誰もがよく食べ、よく笑い、人生の楽しみ方を知っているような気がする。もちろんそれは表層的なイメージに過ぎず、実際にはイタリア人も大いに悩み、苦しんだりしてるんでしょうが、でもなぜか、暗いイメージがあんまりない。日本がこれから猛烈に高齢化するのであれば、「じゃ、イタリアを見習って、楽しそうな高齢社会を目指すのもいいんじゃないか?」って気にもなる。

 ここで一つ、我が千葉県をイタリアに見立てて、遊んでみましょう。面白いことに、千葉県というのは、いろんな面でイタリアと共通点があります。例えば、

イタリアは、細長い半島状の形をしている。千葉県は、ちょっと太いけど同じく半島形で、南の海に大きく突き出している。
どちらも、温暖な気候に恵まれ、 海産物や農産物が非常に豊富。
どちらも、北部は商工業が栄え、南部は農業中心で、両者の経済格差が著しい。
どちらも、政治文化はお世辞にもクリーンとは言い難く、金権政治や汚職が多い。
どちらも、サッカーが盛んで、サポーターも多い。

 こう考えると、「千葉県はイタリアの縮図」ってことになるのかなあ。今度は、千葉県内の各主要都市をイタリアに見立ててみますね(もちろん、千葉県側の都市が名前負けしてしまいますが、それはご愛嬌ということで・・)。

柏(県北の中心都市)=ミラノ(北イタリアの中心都市)
 どちらも、活気あふれる経済都市。共に洗練された都市景観を持ち、特にファッション面で文化発信力が強い。ミラノ発のファッションは世界的に有名だが、柏も千葉県の中では最もセレクトショップ、古着屋の種類が多い「おしゃれな街」として知られる。

千葉(県央の中心都市、県庁所在地)=ローマ(首都、中部イタリアの中心都市)
 どちらも「首都」であり、一番都市人口が多く、共に古い歴史を誇る。ローマ帝国の遺跡は世界的に有名だが、千葉市も源頼朝の時代から、千葉氏という地方豪族の拠点であり、居城もあった。

木更津(県南の中心都市)=ナポリ(南イタリアの中心都市)
 どちらも経済面は弱いが、その代わり、ユニークな文化活動が注目を浴びている。ナポリは、「市民一人一人が俳優」といわれる都市。一方木更津も、国内最悪の地価下落、町の衰退という暗いニュースを吹き飛ばすべく、木更津キャッツ、気志団などの活動が脚光を浴びている。

浦安(ディズニーの街)=ベネチア(水の都)
 どちらも海に囲まれ、水辺の風景を活かした、一大テーマパークかつリゾート地になっている。そういえば、ディズニーランドの「カリブの海賊」が、ベネチアのゴンドラに見えないこともない???いずれも、対岸にたくさん工場がある点でも似ている。

成田(新勝寺の門前町)=フィレンツェ(美術の都)
 成田は空港のイメージが強いが、実は初詣客全国ベスト3に入る成田山新勝寺の門前町で、参道には1km以上にわたってお土産屋が並ぶ、日本的なしっとりとした町。文化財も多い。対するフィレンツェは、ルネサンスの本場、町全体が美術館といわれる超有名観光地。

南房総(千葉県最南端)=シチリア島(イタリア最南端)
 どちらも、南の海に向かって大きく突き出した形をしており、冬でも温暖なリゾート地として知られる。

野田(キッコーマン醤油)=パルマ(パルメザンチーズ)
 どちらも、世界中に知られる調味料を生産する街として知られる。

 こう見ていくと、千葉県全体をイタリアに見立てた巨大なテーマパークみたいにしてしまうのも悪くないなあ、って気になってきますねえ(ならないか・・・)。でもよく考えれば、千葉県には成田という日本一の空港があり、ディズニーランドという日本一のテーマパークがあります。毎年、数千万もの人が千葉県にあるこの二つの施設を訪れるわけです。なのに多くの人は県内を素通りして、東京都内に行ってしまう。この流れを食い止めるには、千葉県でブランド力のある都市をたくさんつくって、それらを有機的に結びつける必要があるのでしょう。イタリアへの旅行者は、ローマ→ベネチア→ミラノ→フィレンツェ→ローマといった周遊型の旅ができるわけですが、千葉県でも似たような感じで、例えば成田空港→成田市街→柏→ディズニーランド→羽田空港みたいな、周遊型の都市観光ができるようになれば良いと思います。

 ま、ここまでの話は半ば冗談ではありますが、将来的には千葉県が、そして日本全体が、イタリアのように、ブランド価値の高い都市がキラ星のように並ぶ国になったらいいなあと思います。そうなれば、日本全体の魅力が増しますし、そこまでなれれば、人口減少社会なんか恐くない!!

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