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禁断のメニュー「赤とんぼ」完食!

 私のホームページの「柏のレストランベスト10」で見事ナンバー1に輝いたカレーハウス「ボンベイ」。この店には知る人ぞ知る裏メニューがある。平日しか出さない超激辛ドライカレー「赤とんぼ」である。

 先月末まで東京都心に勤めていた私は、平日限定のこのメニューを食す機会は当然なかった。それが気ままな失業暮らしになって時間ができると、あのうわさの「赤とんぼ」を是非食べてみたくなった。ということで、昨日(4月14日)ボンベイに足を運び、早速注文してみた。

 店のマスターは、「お前こんなもの本当に食うの?」と言いたげな表情だったが、「いま一食分余ってますから大丈夫です」と答えてフライパンに火をかけた。10分ほど経って私の目の前に出されたのは真紅に染まったドライカレー、盛りはやや少なめだった。

 これが「アド街ック天国」でも紹介された「赤とんぼ」か。と、しばし感慨にふけりながら、一口目を口に運んだ。 これがうわさの「赤とんぼ」

 異変が起こったのは二口目を頬張った時だった。あまりの辛さのためか、舌の感覚がまったくなくなってしまったのである。それは、「舌がヒリヒリ」などという生易しいものではない。味が全然分からなくなってしまったのである。そして三口目。今度は全身から汗がドバーッと噴き出してきた。すかさずおしぼりを手にとり、顔に運ぶ。一拭き、二拭きしたが、汗はとめどなく流れてくる。次は水を口に含んだ。そうすると舌の感覚が戻ってきたのか、とてつもなくヒリヒリし始めた。「水を飲むと辛すぎて食えなくなる」と思い、四口目からは水を飲まずにカレーだけ食べた。

 今考えると、三口目まででやめておけばよかったと思う。しかし私は生まれてこのかた腹をこわしたことが3回しかないという、「鉄の胃袋」を自認する男。また二年前には福岡で、「これを食えば病院送り」とまで言われる50倍カレーを完食した経歴を持つ男。「毒を食らわば皿まで」ともいうし、ここであきらめたら男じゃない、とバカなやせ我慢をした私は本当にアホだった。そうして、五口目、六口目・・・三口食べる毎に必ず全身から汗が噴き出す、それを拭きながら、とうとう完食してしまった。この店では食後に角砂糖付きのコーヒーが出される。それを胃に全部流し込むと不思議と口のヒリヒリは消え去っていた。「結構楽勝じゃん」と思いつつ、お会計(800円)を済ませた。マスターは笑いながら「こんなもの金出して食うもんじゃないよ」とのたまった(確かに味が全然分からなかったからその通りだが)、またおばさんは「あーら、完食したの。たいしたものね」と言った。「まあ、それほどでも・・」と謙遜した矢先だった、悲劇が私を襲ったのは・・・・

 上腹部がキリキリと突然痛み出したのである。それもこれまでに体験したことのないすごい痛みだった。ともかく家まで10分の道のりを歩いて帰ろうとしたのだが、あまりの痛みに店から50メートルほどの常陽銀行前で道端にへたり込んでしまった。しばらくして老人が現れて「おい、大丈夫か」と声をかけてきた。「腹が痛いんです」と答えると、すかさず銀行のトイレまで連れて行ってくれた。トイレの中で私は顔面蒼白、苦痛に顔をしかめながら痛みが治まるのを待った。カプサイシンの塊が胃の粘膜をギュルギュルとすごい勢いで破壊しているのがよくわかった。それでも5分ほどすると痛みが治まり、家までなんとかたどりつくことができた。

 家に帰ると生まれて初めて「太田胃散」を飲んだ。しかしその途端また痛みがぶり返してきたので、私は誰もいない家で独り寂しくベッドに横たわる以外になかった。結局痛みが最終的に治まったのは赤とんぼを完食してから5時間後だった。こうして、私は貴重な午後を棒にふってしまったのだった。

 よく考えてみれば、空きっ腹であれを食べたのが失敗だった。少なくとも前もって牛乳を飲んで胃に粘膜をつくっておいてから決戦に臨むべきだった。そう言えば,昨日は朝も夜も何も食べなかったので、結局食べたのは「赤とんぼ」だけだった。汗の方は筑波山のガマの油のごとくドバドバと出たので、昨日だけで1キロは減量できたかも知れない。

 「我こそは」、というチャレンジャーの皆さま、是非あの禁断のメニューに挑戦してみては・・・ただし責任は負いません。くれぐれもお身体を大切に・・・

 

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