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私の限られた経験から言うと、人は次の3つの条件が重なった場合、特に働き中毒になりやすく、過労死も起こりやすいと思われる。
@外的要因:スケジュール自体がきついか、職務を遂行する能力が不足している場合
当然のことながら、スケジュールがきついと、仕事の効率を良くするか、それができなければ体力と根性で補うしかない。そして現場では前者の解決策がとられることは皆無に近く、後者すなわち残業や土日出勤というかたちで補うことがほとんどである(理屈から言えば仕事の効率を上げる方が良いに決まっているが、そのためには新しい仕組みを考えたり、それを周知徹底したり管理したりする時間とキーパーソンがどうしても必要で、納期が迫っていたり人手が足りない切羽詰まった状況では到底不可能である)。
スケジュール通りに職務を遂行する能力が不足している場合はさらに悲惨である。ただでさえ過重な仕事をこなしながら、同時に常にレベルアップしていかないと追いつかないのだから。そしてこうした問題(職務と能力のミスマッチ)は、人事異動や仕事の内容の変化に伴っていつでも発生しうる。そして、現在の日本で、この問題と無縁という幸せな会社はおそらく皆無だろうし、そんな会社は早晩倒産するか吸収合併されるだろう。
A環境要因:職場の人間関係が良く、また上から下まで皆忙しい場合
日本の企業社会の場合、過労死の問題は「経営者や上司が部下をこき使う、搾取する」という単純な図式では捉えられないだろう。人間というものは、「自分だけが大変な思いをして、一部の人間が楽をしている」状況では、自然と仕事にも身が入らず、過労死するような激務はしないものである。逆に、職場の人間関係が良く、厚い絆で結ばれている場合ほど、そして上から下まで誰一人としてラクできず、皆目茶苦茶に忙しい場合ほど、「○○さんがあれだけがんばっているんだから、俺もがんばらないと」とか、「今日は疲れているけど、休むと△△さんに迷惑をかかるから、無理しても出よう」などという気持ちになりやすいものである。そしてその延長線上に過労死や燃え尽き症候群があるのだろう。
私を含めて、日本のサラリーマンの大多数は生真面目で、悲しくなるほど心根が優しい。そして仲間の評価を必要以上に気にしてしまう。同僚や部下が頑張っているのを尻目に自分だけ休暇をとったり楽をするような芸当ができる人は稀である。上から下まで、人をアゴでこき使ったり、家畜のように働かせることができない。自分も一緒につい頑張ってしまうのが、良くも悪くも日本人の性格なのだと思う。現に、日本のサラリーマンのかなりの部分が有給休暇を全部消化しないのも、仲間への配慮とが他者から評価してもらいたい欲求が強く働いているのに違いない。
B内的要因:性格が生真面目で几帳面で責任感が強く、体力に自信を持っている人の場合
概して生真面目な日本人の中にも、性格の個人差がある。一般に、几帳面で責任感が強く、自分に厳しい人ほど、働き中毒になりやすい。また、学生時代に体育会をやっていたりして、自分の体力に自信をもっている人ほど、ついつい無理をしてしまい、それが積み重なって過労死してしまうケースも多いと思われる。むしろ、身体の弱い人の方が、健康管理に気を配る分、自分自身に激務を強いることは少ないというのが私の実感である。
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