<%@Language = VBScript%> <% Option Explicit %> <% If IsEmpty(Session("website")) Then Response.Redirect("default.asp") End If %> 九州へ海外旅行
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シドニー日記・職業生活編第76回

九州へ海外旅行(2002/12/14)

 
 前回号福岡移住計画で予想外の反響をいただき、気をよくして今回も九州ネタで突っ走らせていただきます。当シリーズは一応、「シドニー日記」と銘打っておりますので、シドニー系・オーストラリア系のコンテンツを期待されてる方も多いと思われますが、そういう方にはこの場を借りて、一言お詫び申し上げます。しばしご辛抱を。

 最近シドニーを舞台とするコンテンツが少ない理由は3つあります。@ここ1ヶ月、シドニー周辺は過去30年で最悪といわれる山火事に見舞われ、青空の美しいこの街が煙と灰に閉ざされてしまった、Aここ1ヶ月以上仕事がやたら忙しく、連日11〜12時間労働が続き、日のあるうちに我が家に帰れたためしがない、Bここ2ヶ月、ラグビーリーグのオフシーズンで、ゲームにも行けずに欲求不満気味・・・特に@は大きいです。シドニーの空は憎らしいくらい透き通った青空でなくてはいけないと決まっているのに、そこで1ヶ月も煙臭い空気を吸わされて、うっかり窓を開けて寝ようものなら翌朝ベッドに灰が積もってる、そんな体験をしたら、文章書く気なんかなくなってしまうんですよね。

 でも、幸いなことに今週の火曜日、水曜日と二日続けて大雨が降り、山火事も完全に鎮火したようですし、来週からは仕事もいくらかラクになるでしょうし、仲間のクリスマスパーティにも呼ばれるでしょうから、次回はちゃんとシドニーのことを書けると思います。が、現時点ではまだまだ、日常生活はひたすら我慢、我慢の連続、来年3月に予定されている九州旅行だけを心の糧に、なんとか生き延びてる状態なのです。

 ちょっと脱線しましたが、本題に戻ります。私たち海外移住者にとって、日本への里帰り帰国は実に楽しみなものです。私も実際に移住してみて、たまの休みを日本で過ごすのがどれだけ楽しいことか、強く実感しています。特に次回は日本で一番好きな地方、九州を旅するということもあって、期待感がかつてないレベルまで高まっています。本当、しゃれになんないくらい、まじでボルテージ高いです。

 私の九州びいきは、今から5年前、仕事の関係で短期間暮らした福岡という街が、感動的なまでに住みやすかった、ということに始まります。が、私のお好みは福岡だけじゃありません。北九州も、筑後も、佐賀も、大分も、熊本も・・・みんな好きなんです。どうやら、私は遺伝子のレベルで九州とウマが合うみたいです。私は関東出身ですが、前世はきっと九州人だったに違いありません。


 旅行って、出かける前が一番楽しいものですよね。私たち夫婦もすでに情報集めを始め、旅行雑誌を眺めがらやれここ行きたい、あれ食べたいだの、楽しくやってます。さてその情報ですが、インターネットは別として、ここシドニーで入手できる九州旅行関連書籍は、@英語本、A日本語本、B中国語本の3種類あります。ここは英語圏ですから、量的にはもちろん英語本が一番多いのですが、質となるとあまり期待できません。ロンリープラネットなど大手の旅行ガイドでも、九州は日本の一地方という扱いに過ぎませんし、都市別詳細ガイドも東京、京都くらいしか見当たりません。九州という土地は、英語圏の旅行者にとってはマイナーな存在のようです。

 ところが、近隣アジア諸国、特に韓国、台湾、香港の旅行者からみれば、九州の注目度は俄然高まってきます。博多の和風旅館に泊まったら韓国の旅行客と一緒だったとか、宮崎シーガイアのホテルに泊まったら共通語が日本語じゃなくて中国語だったとか、そんな話を各地で耳にするほど、九州はアジアの隣人たちに身近な人気観光地になっています。そしてまだ人数は多くありませんが、中国大陸からの旅行者も増えているとのことです。

 特にいま注目すべきは台湾人旅行者の存在です。いま台湾は、知る人ぞ知る「日本旅行最先進国」・・・つまり日本以外で最も、日本観光を楽しむ人々の暮らす国(地域)であり、日本関連の旅行書籍も非常に充実しています。台湾の総人口は2000万人強、そのうち年間100万人前後が日本を訪れます。つまり全人口の5%、これはなんと、人口比でみれば米国を訪れる日本人旅行者よりずっと多いのです。この数字から、いかに台湾人が日本旅行好きかが分かるでしょう(注1)

(注1)米国(ハワイが中心)を訪れる日本人数は年間400〜500万人で、人口比でいうと3〜4%です。また、台湾を訪れる日本人観光客の数は100万人弱、総人口の1%に満たない数です。台湾、とってもいい所ですから、日本のみなさん是非遊びに行ってくださいね。

 しかも彼らは京都や東京だけでなく、九州・沖縄から北海道まで、日本列島各地に満遍なくその足跡を残しています。その裾野の広さは、台湾で出版される日本旅行本の地域別ガイドの充実度によって、推し量ることができます。例えば、私の手元にある大雅出版社「個人旅行」シリーズでは、@北海道、A東京、B京都、C大阪・神戸、D福岡・北部九州と、日本国内だけで5つの地域の専門ガイドが出版されており、どれも200頁以上の分量があります。他社からは、「北海道欧風民宿」、「信州欧風民宿」のシリーズも出てます。日本以外で、日本の各地域別の旅行ガイドが量的にも質的にもここまで充実しているのはおそらく台湾だけでしょう。最近では「東京街歩き本」というジャンルまで出てきました。これは東京人と同じ目線でより深く東京を楽しみたい読者をターゲットにするものです。

 台湾の好奇心旺盛かつ旅行経験豊富な読者層に支えられ、執筆陣も編集者も自然と気合いが入ります。そのおかげでここ数年、台湾で出版される日本旅行関連書籍のクオリティは、目覚しい発展を遂げました。情報の豊富さ・正確さ、レイアウト・挿絵の巧みさもさることながら、日本の旅を心の底から熱愛する台湾人旅行作家の書く文章は実に力強く読み応えがあり、「是非行きたい!」という気分にさせてくれます。日本語に訳して、内容を少し日本人向けにアレンジして発売したら結構売れるのではないかと思うほどです。

 先週末、私は会社主催のパーティーの余興で見事特別賞に輝き、100ドルの賞金を手にしたので、これを元手に早速シドニー紀伊国屋に行き、「るるぶ福岡」(もちろん日本語)とともに台湾で出版された「個人旅行、福岡・北部九州」(もちろん中国語)を買い、両者を読み比べてみました。どちらも特色ある素晴らしい旅行ガイドです。「るるぶ」は関東や関西からの旅行者だけでなく、九州近県からドライブに来る人や、仕事の関係で来福する人などいろんなタイプの読者を対象にしているため間口が広く、食べ物、ショッピング、宿、ドライブに関する情報は非常に充実しています。一方、「個人旅行・・・」はもちろん日本に海外旅行で来る台湾人を対象としており、文化の違いとか交通機関の乗りこなし方、温泉の楽しみ方、名所旧跡の紹介などが主な内容となっています。そういうスタンスが、日本に「海外旅行に行く」私にとっては嬉しいです。

 そこで今回は、この二つの旅行ガイド、特に台湾版を中心に、知られざる九州旅行の魅力に迫ってみたいと思います。

 

今回買った旅行ガイド(拡大)
 「個人旅行、福岡・北部九州」の著者は楊春龍(ヤン・チュンロン)氏、1953年台湾生まれ。過去20年以上、北はシベリアから南はアルゼンチンまで世界各地を旅して、1999年から旅行記の著作活動を始めました。彼はテレビの脚本家、出版社の社長、専門学校の講師など、幅広い分野で活躍する一方、日本文化を熱愛し、日本の旅なら「もう何でも任しとけ」と言う位、造詣の深い人物です。

 「個人旅行・・・」は全205ページあり、この本で紹介されている九州内の観光地は、福岡別府阿蘇長崎熊本ハウステンボスはもちろん、二日市温泉、太宰府天満宮、北九州の門司港レトロ地区、小倉駅周辺、スペースワールド、大分県日出(ひじ)にあるハーモニーランド(ハローキティのテーマパーク)、雲仙島原温泉まで含まれています。九州ファンの私としては、唐津・呼子柳川日田久住なども紹介して欲しいというのが本音ですが、それでも北部九州の電車で行ける主要観光地はほぼ網羅されているといっていいでしょう。その他、旅行費を浮かすテクニック、5500円以下で泊まれる宿特集(注2)などもあり、若い旅行者向けのガイドとしては実に良くできています。その他、門司や別府の港からフェリーで関西、四国方面へ足を伸ばすことも推奨されており、旅のイメージは立体的にふくらんでいきます。

(注2)5500円以下で泊まれる宿特集、これは重宝しました。日本語の旅行ガイドや、ネットでいくら探しても見つからなかった、福岡市内でツインで5000円台で泊まれる宿が、ここにはちゃんと紹介されていました。台湾情報網恐るべし。

 九州を訪れる台湾人旅行客は年間30数万人。これは東京地区に次ぎ、京阪神地区と並ぶ数字で、日本における三大人気エリアのひとつになっています。アジアの人気観光地・九州を楊春龍氏がどのように紹介しているか、ざっとみてみましょう。まずは九州の概要から。

〜九州は日本文明の発祥地である。東漢書によれば、紀元3世紀「倭人」が朝貢使節を派遣した際、漢帝は「漢委奴国王」の金印を授けたという。その「倭王」は九州福岡の王であった。起元6〜7世紀に畿内で大和朝廷が成立する以前、九州北部にはすでに古王国が成立し、中国大陸と政治・文化的な交流を行っていた〜

 なるほど・・・九州は日本文明のルーツってことか。確かに、言われてみればその通りですね。ちょっとワクワクしてきました。さらに続きます。

〜大海に隔絶された日本列島は、1500年もの間アジア大陸の戦禍とは無縁であった。いやただ一度だけ、元(モンゴル帝国)が日本征服を企てたことがある。その主戦場になったのが福岡であった。つまり福岡は日本列島で唯一、中国兵の侵略を受けた土地なのである。

〜そして、我が台湾の誇る民族的英雄、鄭成功(注3)が幼年時代を過ごしたのも、この福岡の近郊であった〜

(注3)鄭成功:日本では「国姓爺(こくせんや)」として知られる。彼は1624年、明朝に使える鄭芝龍を父に、日本人女性を母に持ち、長崎県平戸で生まれました。彼は長じて明朝に仕え、当時台湾を支配していたオランダと戦って勝ち、台湾奪還を果たしたので、民族的英雄として扱われています。

〜時は下って1895年、日清戦争に敗れた清国の代表、李鴻章が講和条約にサインしたことにより、我が台湾は50年間、日本の支配を受けることになった。その舞台となったのが福岡近郊の下関であった〜

〜九州・福岡は、我々と最も長く付き合ってきた日本の友人であるとともに、中国兵の武力侵略を受けた唯一の土地であり、我が台湾を「売った」憎むべき土地でもあり、また我々の誇る民族英雄の故郷でもある〜福岡と我々の間には、恩も仇も含めて、切るに切れない深い関係があるのだ。

 私はこれを読んで、目からウロコが落ちる思いでした。九州・福岡という土地は、東京から眺めると単なる日本の一地方に見えるけれど、中国・台湾の視点で眺めると、なんと違って見えることでしょう・・・ここは東アジアの重要な歴史事件の舞台に何度もなった土地であり、そこには日本人だけでなく中国人や韓国・朝鮮人が常にからんでいた・・・そこに、日本という枠組みを超えた、コスモポリタンな土地柄を感じます。台湾、香港、韓国の人たちが九州を好んで訪れるのも、こういう歴史の産物としての親近感があるのかもしれません。


 次は、九州の各都市がどのように紹介されているか、見てみましょう。

1.フレンドリーな日本の玄関、福岡市

〜福岡の嬉しいところは、何といっても空港が市の中心部にあることだ。驚くべきことに、空港から地下鉄で2駅、所要時間5分で九州観光の中心地、博多に着くことができるのだ。そして、地下鉄で4番目、5番目、6番目の駅(注4)は、福岡を代表する歓楽街、繁華街、屋台天国である。空港から1時間も電車に揺られないと市内に着けない大阪、東京とは大違いだ。それに、東京・大阪では地下鉄の路線がやたら複雑に入り組んでいて、路線図を見ただけで頭が痛くなるけど、福岡の地下鉄はたったの2路線しかない・・・福岡では、旅行がいかに簡単で気軽なものか、誰もが実感するに違いない。

(注4)地下鉄で4、5、6番目の駅:中洲川端、天神、赤坂駅のことです。

〜福岡は我々台湾人が一番安く、手軽に行くことのできる日本の大都会である。いま台湾で発売されている格安航空券の相場は、大阪往復が9,300〜9,800元(注5)と一番安く、福岡往復が9,600〜10,000元、東京往復が11,000元前後である。しかし、空港から市内までの片道交通費を比べると、福岡はたったの250円なのに対し、東京・大阪では1,500円はかかる。その上、空港税も関空では2,650円とられるのに対し、福岡空港なら945円で済む。これらを考えると、福岡は唯一、10,000元で行って帰って来れる日本の大都会なのである。

(注5)1台湾元=約4円

 これらをみると、福岡は地理的に台湾に近いだけでなく、市内から空港までの近さ、空港税の安さ、巨大すぎない都市規模から、台湾人にとっては訪れやすい、フレンドリーな日本の表玄関として知られているようです。

 アジアの観光客にとって、福岡最大の人気観光地は福岡ドーム・ホークスタウン。ここは、野球の試合だけでなくショッピング街、リゾートホテル、各国料理レストラン、地上35階からの博多湾の絶景、アトリウム(熱帯植物の温室)でのコーヒー、300種類の人気ゲームが揃うナムコワンダータウンなどが集まる一大アミューズメント施設です。ショッピングしたい向きには、キャナルシティ博多博多リバレイン、天神地区の百貨店街、新天町アーケード街とコマがそろっており、グルメ派には天神、長浜の屋台街をはじめ、美味しいものは何でもあるし、「海」を感じたい向きには博多埠頭ベイサイドプレースや、そこからフェリーに乗って海の中道海浜公園もいい。夜遊びしたいお兄さんには中洲の歓楽街、親不孝通り・・・こういった「福岡観光のツボ」はすべて押さえてあります。

 私が面白いと思ったのは、福岡の新しいウォーターフロントゾーン、シーサイドももちの扱いです。ここは「るるぶ」ではかなりの頁数を割いて大きく採り上げられているのに、台湾版「個人旅行・・」ではほとんど無視されています。逆に、福岡郊外、JR香椎の駅前にあるセピア通り、これは住宅街の一角にあるちょっとおしゃれな通りで、日本人の目にはありふれたものなので「るるぶ」では全く無視されていますが、「個人旅行・・」では大きく採り上げられています。

〜セピア通りは、道の両側、緑したたるクスの街路樹の照り映えに、欧州の小都市を思わせる典雅なお店が並び、薄化粧した貴婦人のような高尚な気分にさせてくれる、ロマンチックな通りである〜

 実に文章がうまい!これを読んで、「是非セピア通りを歩いてみたいっ」と思ってしまいました・・・

2.いま注目の観光地、北九州

 「るるぶ」でも「個人旅行・・」でも、共にかなりの頁数を割いて大きく取り扱われているのが北九州市にあるいくつかの観光地です。北九州は、スペースワールド門司港レトロ地区という二大観光地とともに、小倉駅周辺の紫川沿いもきれいに整備され、ショッピングモールや中華料理店街も出現し、ちょっとした観光地になっているようです。

 北九州というところは、数年前まで観光地というイメージがほとんどありませんでした。八幡製鉄所を擁する日本屈指の工業都市、30年前までは公害の町として知られ、私が小学4年の時に買った「少年朝日年鑑」にも北九州の公害問題が採り上げられていました。のちに北九州工業が衰退をはじめ、その結果空気がきれいになってくると、今度は「競馬、競輪のある不景気な町」というイメージに変わりました。その北九州が注目の観光スポットとして日本と台湾の旅行雑誌に紹介されること自体、隔世の感があります。

 北九州の主要観光地はどこも、落ち目になったエリアを新たに開発してできたものです。八幡製鉄所の跡地を利用したスペースワールドしかり、寂しくなった埠頭を再整備してできた門司港レトロ地区しかり、百貨店が撤退して寂しくなった駅前をリニューアルした小倉しかり・・・以前エッセイにも書きましたが、私はそういう所に北九州という都市のクリエイティブさを感じます。この街が今でも不景気なことは変わらないけれど、そこを何とかしようという人々の意気込みが伝わってくる街を歩くのは楽しいものです。3月の九州旅行で是非訪れたい土地のひとつです。

 ところが、この北九州は面白いことに、台湾版「個人旅行・・」では全く別のイメージで紹介されています。特に小倉駅前などは、夢の未来都市を思わせる超ハイテクエリアとして紹介されているのです・・・

  1. 駅南口を出ると、すぐそこに見えるのが超先進的な「都市モノレール小倉線」。天空を貫くこの鉄道は、なんと小倉市(注6)の「市電」なのだ。ここの市民は早くも「未来科学技術」を使って暮らしているのだ。
  2. 駅南口を出ると、高架の陸橋(コンコース?)がある。この陸橋はなんと、地上とエレベーターで結ばれている。つまり、階段の上り下りをしなくていい、ということなのだ。彼らの市政建設はすでにこのレベルまで達している!!
  3. 同じ所には、老人や障害を持つ人のためのバリアフリーのエレベーターがある。見たところ、これはほとんど使われていないようだ。数千万元の巨額を投資して、一日数回しか使われないエレベーターをつくる・・・それでも障害者の権利のために、小倉市はそれをやってのけたのだ。
  4. 駅の中央通路、案内表示が非常に多く、みな十字型をしていて分かりやすい。ここまで充実していれば、知能指数ゼロの人間でも道に迷うことはない。。
  5. 駅の中央通路、5、6段しかない小さな段差にも全てエレベーターが設置されている。このおかげで、利用客は力を使って荷物の持ち運びをしなくていいようになっているのだ。「100%お客さまのために」という設計者の思想が、ここにみてとれる。
  6. 駅北口を出ると、国際会議場と関西汽船の埠頭までの500mの間が、高架の通路で結ばれている。ここはなんと、自走式の水平エスカレーターになっているのだ。国際空港にあるような施設が・・・小倉市ではすでに、「歩かずに街を回れる」という理想が現実のものとなりつつあるのだ。
(注6)「小倉市」は北九州市のことですが、北部九州と混同されることを配慮したのか、「個人旅行・・」では小倉市として紹介されています。

 いろんな書き方があるものですねえ。私はこれを読んで、小倉駅にすごく行きたくなってしまいました。なんだか、未来のテーマパークみたいで楽しそうじゃないですか・・・とくに私の住んでるオーストラリアってあんまりハイテクな国じゃないから、なおさら行きたくなってしまいます。余談ですが、いまの台湾人はハイテクな通路を見たって別に驚かないと思うんだけどな(台北の鉄道駅なんか、すごいハイテクですもん)。でも、首都・東京ではなく、そこから1000kmも離れた地方都市で、ここまでのレベルのインフラ建設が進んでいることに、台湾人は驚くのかもしれません。

3.悲運の蝶々婦人、長崎

 これまで軽快な語り口で九州の各観光地を紹介してきた楊春龍氏ですが、舞台が長崎となると、途端に深刻なトークになってしまうようです。

〜米国がなぜ長崎に原子爆弾を落としたのか、私には理解できない。長崎は日本におけるキリスト教のルーツであり、欧米の価値観が日本に浸透するその窓口であった。長崎人は日本で一番早く欧米の科学技術に魅せられ、キリスト教に改宗した長崎人は幕府による血の弾圧に耐えた。しかし米国はその長崎に原爆を落とした。これは、「最も愛すべき人の耳をそぎとる」ような行為ではないのか。しかも、長崎と同じく原爆を落とされた広島は、欧米人専門家の支援を受けて世界遺産になったのに、長崎はそうなっていない!長崎はまさに、悲運の蝶々婦人(注7)としか言いようがない〜

(注7)プッチーニ作曲のオペラ「蝶々婦人」は日本の長崎が舞台です。長崎芸者「蝶々さん」とアメリカ海軍士官ピンカートン氏を主人公とする恋愛物語です。

 これを読んで、私は拍手したい気分になりました。確かにおっしゃる通りです・・・この言葉が日本人ではなく台湾人の楊春龍氏の口から発せられること自体、長崎が日本という枠組みを超えて、西洋と東洋のぶつかり合いという、全人類的なテーマを背負った土地なのだと思いました。その点長崎は、アジアでいえば香港やマカオ、シンガポールと共通項でくくられるべき都市なのかもしれません。余談ですが、マカオのセントポール教会は江戸幕府の迫害によって長崎を追われてきたキリシタン技術者の手で建てられた建築物なのだそうです。九州7県で唯一、私が足を踏み入れていない長崎、これは行くっきゃないと思いましたね。


 台湾版「個人旅行・・・」には。ここに紹介した3都市のほか、別府、熊本、ハウステンボスなども、とても魅力的な語り口で紹介されていますが、紙幅の関係ですべては紹介できません。でも一つ残念に思うのは、ここまで魅力的な旅行ガイドでも、クルマでないと行けない観光地は紹介できないということです。台湾人が日本に来てレンタカーを借りて九州の田舎を回る、という旅行形態がまだ一般化してない以上、仕方ないことなんですけどね。

 でも、九州の本当の良さは、大都会や目玉観光地よりも、むしろクルマでしか行けないところにある、と私は思っています。九州には、あまり知られていない、さりげない所に「いいもの」がいくらでもある。レンタカー借りて九州の田舎をまわると、山のなかのドライブインに古色ゆかしい「鎧兜」が飾られていたり、素晴らしい調度品のコレクションがあったり、全然期待しなかったのにものすごく豪華なちらし寿司が出てきたりします。また九州は温泉の数が半端じゃないほど多く、露天風呂のつくり方もセンスがいい上に、入浴料がとっても安い。至るところでお祭りやってて楽しいし、宮崎県の綾町大分県の湯布院のように、創意あふれる街づくりを実践しているところも多い。そして何といっても、魚と酒が美味い!

 「るるぶ福岡」では、さすがにドライブ客をターゲットにしてるだけあって、多彩なドライブコースが紹介されていて助かります。特に、焼き物の里・小石原と、筑前の小京都・秋月は是非行ってみたいと思いました(オーストラリアに住んでると、こういう「渋いもの」に飢えるのです・・・)。ただ、るるぶ福岡は福岡県しか紹介していないので、他県版(大分や熊本など)も買いたいのですが、先週末の時点では、シドニー紀伊国屋では福岡版しか在庫がないようです。ま、本がなくてもインターネットがあるわけですし、情報を集めながら気長にプランニングしていこうと思います。

 九州へ念願の海外旅行、今から楽しみです♪

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